【大紀元日本7月13日】開通して10日で架線ショートのため停電となり、大規模な遅延事故が発生した北京ー上海高速鉄道に、中国国内メディアは厳しい目を向けている。経済観察ネットは12日、「『刃先で踊る』中国の高速鉄道」という見出しで、開業早々すでに事故が連発する中国高速鉄道の安全性に疑念を呈した。以下はその抄訳である。
北京ー上海高速鉄道は、中国人が近代交通領域において学び、技術革新を成し遂げ、先端水準に追付いた「完璧な結晶」と主流メディアに称された。これまでの追い掛け役から一気にリード役へと変身を成し遂げた、中国鉄道技術の集大成として謳歌されている。しかし、単なる雷雨で、極めて脆弱な側面が浮き彫りになってしまった。
この「脆弱な側面」の一部として、非人為的要素と人為的要素が挙げられる。
非人為的な要素には2つある。1つは「天」が「寵児(高速鉄道)」を懲らしめたこと。2つ目は、一般的に高性能で複雑なシステムほど、従来の製品より故障しやすく、システムリスクが高い。
人為的要素も2つだけ挙げよう。1つは政府による情報発表の遅れ。この事故に関するインターネット上の書き込みは、夕方6時ごろにすでに殺到したが、新華社は夜11時ごろやっと重い口を開いた。しかも、その情報内容は極めて不完全で、「G151列車が故障」などに止まっていた。鉄道当局の発表はなおさら遅く、事故原因の説明には「主に雷雨の天候による架線の故障のため」と言葉を濁している。事故調査を開始したかにも言及しておらず、「主に雷雨の天候による」という曖昧な結論でさえ、誰の分析によるものなのか明示されていない。
そして、世論、並びに事故の影響を受けた数千人の乗客が事故の原因を求めている際、「業界専門家」は「架線の避雷設備は停電の確率を下げることはできるが、完全に防ぐことはできない」と言い放った。確かにその通りかもしれない。「私はこれが安全リスクに関わる事故とは思わない」と続けた。これはいただけない。お聞きしますが、列車が時刻通りの運行を保つことも安全指標の1つであるはずで、今回の事故が安全リスクに関わる事故でなかったとしたら、なんと呼べばいいのだろうか。
人為的要素の2つ目は高速鉄道の技術と設備に欠陥があること。我々素人でもこれだけは判断できる。「架線は正常な運行に大切であり、雨でショートしたら停電・停車となる。架線の保護設備がこれほど、ひとたまりもない脆弱な状態でいいのか」。4日に、乗客がトイレで喫煙したら列車が減速してしまったトラブルと考え合わせると、ガラス細工のような脆さが浮かび上がる。人々がさらに懸念せざるを得ないことは、高速鉄道にひそむ設計と品質の欠陥が、この程度の単純なものに止まるのかということだ。
今回の事故が起きるまで、世論が高速鉄道に向けた疑問は、主にその必要性と経営リスクに集中していた。安全性を疑う声もあったが、鉄道部(省)専門家の度重なる「お墨付き」により、疑問の声の力が多少、不足気味だった。しかし、今回の雷雨が高速鉄道の危険性を裏付け、高速鉄道の最大のリスクは、経営リスクよりも安全リスクであることが分かった。時速300キロの運行で支障がでたら、重大な死亡事故につながりかねない。高速鉄道の改良、メンテナンス、システム制御、安全検査など、どれ一つも手を抜くことはできない。鉄道当局は計り知れない乗客の命を手中に「刃先で踊っている」のだ。