【大紀元日本7月28日】中国=イラン間の石油取引で、中国の商品とサービスをイランからの原油と交換する論議が進められている。米国の金融制裁を回避するための対策とみられている。
英紙フィナンシャル・タイムズ紙によると、イランから中国への石油輸入は増加の一方にある。昨年1年間の輸入総量は293億ドル。2009年度比の40%増だ。しかし、米国によるイランへの金融制裁により、ドルなどの通貨で石油購入代金の決済ができないため、未払い金の問題が深刻になっていた。そのため、両国は物々交換の貿易システムを検討し、このような対策が編み出されることとなった。
一方、イランは8月1日から、インド向けの原油輸出を削減する予定。インドはイラン同様、原油代金を決済できない状態にあるが、イランへの商品輸出がほとんどないためである。
国内紙・第一財経日報の報道によると、イランは中国への輸出増加を協議していると同時に、年末までに中国の石油備蓄1億バレルの目標達成に協力する意向だ。武器の提供という代金決済をさらに増やすことが条件である。
イランは長い間、中国から購入する武器の代金を石油で決済してきた。米エネルギーコンサルタント会社のFACTS Global Energy社の調査によると、中国軍系企業・珠海振戎公司は、イランからの石油輸入において重要な役割を担っており、毎日25万バレルの最優先枠が設けられているという。
中華ネットによれば、珠海振戎公司は、中国国務院や中国軍部から、武器と石油交換の特別代理権が授与された貿易会社であり、中国で石油輸入業務を行う国営企業4社のうちの1社に数えられている。テヘランに事務所を設ける。2008年の年末までに、同社は中東から原油1億トン以上を輸入。武器の代金150億元(23億ドル)以上を回収できたという計算になる。
同社公式サイトによると、イランと中国は長期的で安定した原油輸入のルートを築いたとともに、イランなどの国との貿易・政治の双方向関係を構築し、政府の他の特殊貿易の土台を作ったという。2010年には、同社が輸入した原油とその他の石油製品は1713万トンに達しており、営業収入は610億元(95億ドル)を記録した。
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所の報告書によると、イランは中国の軍事産業の第二消費国であり、2005年~2009年に購入した軍備品には1000発余の地対空ミサイルと対艦ミサイル、50台の陸上部隊の戦車が含まれている。さらに米VOAの報道によると、イランは中国製「殲-10」戦闘機24機の費用を石油で決済する予定で、総額は約10億ドルに上る。
ワシントン・ポスト紙によると、中国の一部企業はイランに黒鉛、タングステン、ジャイロ、加速器、合金鋼などの弾道ミサイルの設備と材料を輸出している。イランで自動車工場を持つ中国奇瑞自動車は、自動車部品購入の名目で、イランに軍民両用物質を多く提供している。
一方、中国はイランからの原油輸入も増加している。中国税関の最新統計によると、中国が2011年1月~4月の期間にイランから輸入した原油は854.9万バレルに達しており、前年同期比32%増である。イランはすでに中国の第三原油供給国となっている。