【大紀元日本9月1日】中国の富豪が1億ドルを投じてアイスランドの土地300平方キロを購入する計画が8月30日に報じられた。アフリカに続き、北極地区が中国当局の次なる戦略目標になるのではないかと専門家は注目している。
英紙フィナンシャル・タイムズによると、中国の不動産投資家で、中央宣伝部(中宣部)の元高官の黄怒波氏が、アイスランドの300平方キロの土地を取得するための仮契約を結んだ。
同契約にはアイスランド政府の許可が必要であり、現在、許可を申請中だという。同国のヨーナスソン内相はVOAの取材を通して、中国が世界中で土地を購入していることには関心を寄せており、アイスランドはこの取引がもたらす国際的な影響を熟慮すべきだと指摘した。
アイスランドは欧州・北米の間で重要な戦略的ロケーションを占めている上、温暖化のため北極の水路が開通した場合、ヨーロッパとアジアを結ぶ航路の重要な中継地にもなる。
ストックホルム国際平和研究所が昨年3月に発表した報告書では、北極地区は中国当局の次期戦略目標になると分析されている。解氷後の北極海に新たな航路が開通することを見越して、中国はすでに多くの資金と人員を投入し、北極戦略を実践していることを明らかにした。
北極海航路が開通した場合、中国からヨーロッパや北米市場への航海時間を短縮できる。中国・ヨーロッパ間はインド洋航路より6400キロも短縮できる上、安全面では海賊に攻撃される危険がなくなり、海賊対策に支払う莫大な費用も払わずにすむという。
ロイター通信は、ブリュッセルの現代中国研究所の調査部門の責任者、ジョナサン・ホルスラグ氏の話として、「このプロジェクトは土地から原材料、ノウハウに至る戦略的資産を海外から手に入れるという中国の政策目標に沿っている」と指摘した。
2008年にアイスランドの資金繰りが破綻し一時孤立無援となった際、中国は財政支援を申し出た。この時も北極海航路への目論みが注目された。