【大紀元日本9月8日】中国のレアアースの主要生産地で、「レアアース王国」と言われている江西省カン州市は、年末までに生産を全面的に停止する。国営新華社が5日報道した。業界関係者からは、下半期のレアアースの供給は一層厳しくなる、との声が上がった。
生産停止が決まったのは、同市の三つの主要生産区寧都県、カン県と信豊県。その理由について、現地政府は同資源の計画的な開発と持続的利用のためと説明している。
ハイブリッド車のバッテリー、風力発電機、光ファイバー通信、太陽光パネルなどに欠かせないレアアース。世界の埋蔵量の37%にあたる3600万トンをもつ中国は、これまで世界の供給量の96%を占めていた。
中国は、2009年4月に「国内産業の保護」を理由に、レアアースの輸出制限を実施した。米国や、日本、欧州の先進諸国はその動きを、常に警戒しており、将来供給不足を強く懸念する各国が相次ぎ自国でのレアアース開発プロジェクトを開始し、さらに輸入先を中国から他の国に移しつつある。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙はこのほど、本部がイリノイ州にある技術金属の研究会社の専門家報告書を引用して、米国と豪州がレアアースの生産を強化し始めているため、中国の供給は2017年までに43%に下げられる。それまではやはり、中国の輸出に依存するしかないと報じた。
一方、カン州市政府は数カ月前から業界内で前例のない大規模な改革を実施し始めたもようで、多くの採掘所は生産を停止している。カン州はレアアースの中でもハイブリッド車に使われる「ジスプロシウム」の産地であり、今後自動車メーカーへの影響が懸念されている。
(翻訳編集・叶子)