【大紀元日本9月21日】カナダ外相秘書と中国国営新華社記者との親密メールが今月初めに流出してから、新華社の「諜報機関」としての役割にカナダの主流メディアが注目し、波紋を広げている。同じ時期に、米国下院外交委員会の有力メンバーのデーナ・ローラバッカー議員ら(共和党)は13日、新華社のみならず、中国主要メディアはみな共産党政権に運営される国営メディアだと指摘し、これらのメディアに所属する記者の米国入国を大幅に制限する法案を提出した。
「2011中国メディア相互法案」と名付けられたこの法案は、米国に入国する中国の国営メディアの特派員を、中国に入国する米政府系メディアの特派員と同水準なものにするべきだと主張。現状では、2010年度、米当局はそうした中国人記者650人に入国査証を発行しているのに対し、中国国営メディアに近いボイス・オブ・アメリカ(VOA)とラジオ自由アジア(RFA)は合わせて2人だけ中国入国査証を取得している。
また、650対2という数の不均衡のほか、米駐在の中国人記者の活動はまったく制限されないのに対し、中国駐在の米国人記者は当局の監視や嫌がらせをしばしば受けているという。
ローラバッカー議員は新華社通信のほか、人民日報、光明日報、中国青年報、中国中央テレビ(CCTV)など12社はこういった「国営メディア」だと明記した。これらのメディアに所属する多くの駐米特派員は実は「中国政府の工作員」であると警告し、彼らの存在により、中国で実際何が起きているかを認識することが妨げられ、また、米国に対する共産党政権の監視が増強されることになると指摘した。
米国浸透を果たす中国のメディア
ここ数年、中国政府はメディアの米国浸透を加速させている。ワシントン・ポストの昨年4月の報道によれば、中国当局は450億元(約70億ドル)の巨額を投じ、新華社やCCTV、人民日報を米国などに進出させているという。
今年1月から2月にかけ、ニューヨークのタイムズ・スクエアの巨大スクリーンで、中国の国家イメージを宣伝する動画が合計8400回流された。5月には、同じタイムズ・スクエアに国営新華社の北米本部が開設され、米国での新華社の支局はこれで7カ所になった。また、CCTVのニュースチャンネルとドキュメンタリーチャンネルは来月1日から、ワシントンDCなどで放送事業を行う非商業放送局MHzが運営する2つのチャンネルで24時間放送を実施することになっている。番組は時事、経済、ビジネス、文化、歴史などにおよぶという。
このほかにも、昨年5月から、中国国際放送(CRI)は米テキサス州のガルベストンのラジオ局KGBCと契約し、すべての放送時間でCRIのラジオ番組が流される。新華社もニュース配信のみならず、2009年から自社のニュース放送チャンネルを構え、中国語と英語で放送している。
こういった動きの狙いは、欧米社会のイデオロギーに影響を与え、ものの見方を中国当局の角度に誘導することにあると、ワシントン・ポストの当時の報道は分析している。
一方、最近では新華社などの諜報機関としての役割も注目されるようになった。今月初めに流出したカナダ外相秘書と中国国営新華社記者との親密メールがきっかけで、カナダの主流メディアは新華社の約4分の1の特派員は諜報員であると報じている。トロント・スター紙は匿名の中国メディア記者の証言を引用し、中国の多くのメディアが国外に送り込む記者に一定の割合で国家安全部の者が含まれていると伝えている。