【大紀元日本9月22日】中国南京市でこのほど、男性会社員が麻酔をかけられて腎臓が摘出される事件が報道された。被害者の証言によれば、社長と病院側による組織的な犯罪の疑いが強い。
中国紙・北京晨報によると、2010年7月、当時、福建省厦門市に在住していた男性・小海さん(仮名、25歳)の手元に、南京市某医療機器会社の社員募集のメールが届いた。その高賃金と好条件に惹かれた小海さんはすぐに会社側に連絡を入れ、向こうの案内で当日夜南京市に向かった。本人の証言では、採用された後、社長にある病院に連れて行かれ、出された飲み物を飲んだ後意識を失い、その間に片方の腎臓が摘出されたという。
本人は事件の経緯を次のように話した。
会社に採用された翌日、小海さんは健康診断を受けた。「入社早々、身体検査を受けるのは極当たり前のことだ。しかし、検査の項目は通常より多くて複雑だった」。事件発生後に初めて知ったのだが、そのときの検査は主に腎臓を調べるためのものであり、費用は非常に高かったという。
当時、会社には7、8人の社員がいた。毎日の仕事は、資料を読み、南京市の病院と交通の状況を熟知するだけだった。それについて、社長の王金さんは会社は準備段階にあると説明した。会社の社名「南京傑傲医療器械銷售有限公司」をインターネットで検索しても、その実体を確認できない。通常、オフィスの壁に開示されるはずの営業許可証もなかった。また、社員の入れ代わりが激しいため、互いのコミュニケーションも少なかった。
ある日、東北地方出身の若い同僚・張洋さんが突然来なくなった。社長から、彼は出張しており、会社に高額の収入をもたらすと聞かされた。ある日、小海さんは社長の集金に同行した。張洋さんの銀行口座には4万元、社長には11万元が入金された。この日から、小海さんは会社の闇業務に薄々と気づきはじめたという。
入社4カ月後の10月下旬のある日、社長は小海に裏を打ち明けた。「あなたの腎臓は合格した。健康診断の結果など全部徐州市に送った」。
小海さんは逃げ出すことも考えたが、身分証明証を取り上げられていた上、4人の用心棒に監視されていた。
当日夜9時頃、一行を乗せた車は徐州市九里区の火花医院(別名・火花社区衛生服務中心)に到着した。小海さんは手術室の隣の部屋に連れて行かれた。出された水を飲んだ後、彼は意識を失った。夜中に目が覚めた彼の耳には、「上海の××主任が自ら手術を行う」という言葉が聞こえてきた。そのとき、自分の肩に注射されたのがはっきりと見えた。すぐに彼は再び意識を失った。
「目が覚めたとき、体中に管が挿されており、体の感覚が無くなっていた。しかし、医者が傷口を縫合しているのがはっきりと分かった」。手術した先生に「物」を上海に持って行かせる、という内容の会話が聞こえてきた。「ステンレスの箱が見えた。2人の私服姿の人がそれを持って出て行った」。「あれは恐らく私の腎臓だ」と小海さんはつぶやいた。
小海さんの説明によれば、自分は今回の手術に同意していない上、同意書に署名もしていない。事件後、彼は病院側に再三問いただしたところ、得た回答は「家族が署名した」。社長はすべてを事前に用意したのだった。
何者かがこの手術への謝礼として35万元(日本円420万円)を支払った。そのうちの20万元は病院側に、社長の王金さんには11万元、小海さんは3万元しかもらっていないという。
また、小海さんは自ら調査を行い、同じ会社に在職する7、8人は全員腎臓摘出手術を受けたことがわかった。
小海さんを含む3人の社員は南京市雨花台警察局に通報し、会社のパソコンと資料を証拠として提出した。
中国国内紙の報道によれば、行方がわからなくなった王金・社長にはその後、違法経営の罪で逮捕状が出ている。徐州市のあの病院の関係者も現地の警察当局の取り調べを受けているという。
中国では、闇の臓器取引に加担する病院があるということは、これまでも内部証言で指摘されていた。2006年はじめに、中国東北部の瀋陽市のある病院に勤めていた医師の妻が米国で初めて証言を行った。それによると、刑務所はその夫が勤める病院と結託して、監禁中の多くの法輪功学習者の臓器を摘出した後殺害した。その後、軍の医者などからの匿名証言も相次いで寄せられた。