【大紀元日本9月23日】河南省洛陽市の地元テレビ局に勤めていた記者が17日夜、宿舎の玄関前で何者かにより刺殺され、ノートパソコンを強奪された。李記者がミニブログ・微博に書き込んだ最後の発言から、最近中国で問題となっている汚水や生ゴミから作られる「地溝油」の報道で、製造者側の恨みを買い殺害されたのではないかと、ネットユーザーや一部の国内メディアは推測している。
この記者殺人事件について警察当局は21日、男2人を強盗殺人の疑いで逮捕したと発表、地溝油報道への復讐説を否定している。しかしネットユーザーらはこの発表に納得しておらず、ネット上で反論が巻き起こっている。
殺害されたのは洛陽テレビの李翔記者。李記者の微博アカウントの最後の書き込みは、地溝油事件の調査に関係するものだ。李記者殺害事件の直前に、山東省などで地溝油の製造が摘発され、関連業者32人が逮捕され、地溝油100トンが押収された事件が報道されたばかりだった。ネットユーザーや国内メディアは、李記者殺害と地溝油との関連を疑っている。
李記者殺害の事件が分かった直後、地元の公安局は、強盗殺人の疑いと発表していた。しかし大衆紙「北京晨報」は21日、洛陽市公安局に対する取材内容として、「李記者の死体に少なくとも10カ所の刺し傷があったことから、普通の強盗殺人事件の特徴に合わない。ほかの動機があることを排除できないと洛陽市公安局関係者が話した」と報じた。
北京晨報の報道があった同日午後、中国当局は2人の容疑者を逮捕したと新たな結果を発表し、地溝油との関連性をはっきりと否定した。同紙は李記者の上司の話として、李記者が最近、地溝油報道に関わっていないことから、彼の死が地溝油報道によるものという情報は真実ではないと話しているという。
警察当局の発表に、政府への不信感の強いネットユーザーは納得しない。「偶発的な強盗殺人説で、却って更に多くのネットユーザーが疑問を持った。またもう一つの謎が増えたね」と、ネットユーザー『毎日熱門精選』が書き込んだ。
21日付けのAP通信はこう伝えている。「この事件は、未だに続く地溝油問題への市民の怒り、憂慮を表している。不正取引や政治腐敗、人権侵害を追及する勇気ある中国人記者は脅迫を受けやすい。その目的は、彼らの口を塞ぐことだ」