【大紀元日本9月26日】政府系シンクタンク・中国社会科学院の都市発展及び環境研究所がこのほど発表した報告によると、中国の都市と農村の所得比は3.23対1で、所得格差は世界一であるという。米VOAなどが報じた。
「実際の所得格差はこの数字より遥かに上回る」と元国家統計局局長・邱晓華氏が指摘する。「農民の所得は40%の実物(食糧)などの収入を含み、生産の支出を除けば、実際の格差は5対1、あるいは6対1になり、20年前の3倍である」という。
国際労働機関(ILO)が2005年に発表した調査報告書によると、多数の国で、都市と農村の一人当たりの平均所得の差は1.6倍以下になり、英米などの先進国は1.5倍だった。中国など3つの国だけが2を超えていた。
「農村問題」を長きに渡り分析する共産党中央党校経済学部・徐祥臨教授は、「工業化の発展の角度から見れば、都市と農村の所得格差の問題は必然的な現象」とこの差を説明する。
また、農作物の低価格が、所得格差問題の1つ原因であると指摘する。「日本では農産品の価格を上げる方法で農民の収入を増加させたが、中国では、農作物だけでは利益を出せず、農民は都市に出稼ぎするしかない。しかも不公平な戸籍制度によって都市で軽蔑され、収入は常に低い」と徐氏は述べた。
「戸籍差別を受ける農民は都市に住む市民と同じ給料を得られず、医療、教育などの社会保障もない。負担の多い働き、劣悪な生活環境、人間としての生活環境も保障されない農民は、貯金が溜まれば実家に送っている」と北京のフリーランス作家、戴晴氏は分析する。
戴氏はこの格差社会の原因は政治腐敗、汚職問題にあると指摘する。「資源や財産はほとんど政府、国有企業や資本家などのところに集まり、農民はますます貧乏になっていく」とし、たとえ差別要因である戸籍制度がなくなったとしても、中国の農民の不公平な立場は依然として変わらない、と付け加えた。