【大紀元日本10月4日】世界最大の投資ファンド運用会社であるブラックストーン・グループはこのほど、保有している中国上海のショッピングモール「チャンネル1」の95%の株式を、香港不動産開発大手の新世界発展有限公司に14億6000万元で売却する。9月28日付ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。
11月に同契約締結が完了すれば、ブラックストーンがはじめて中国の不動産市場から撤退することとなる。一部の専門家はこの決断について、ブラックストーンが中国の景気後退および商業用不動産市場の急落との悲観的な観測から撤退したと推測している。
ブラックストーンは2008年、まだ空き地であった総面積4.2万平方メートルの土地を10億元で購入した。その後、「チャンネル1」が建設された。この物件を所有している3年間に、ブラックストーンは同物件の使用率が90%を上回ったとしている。国内の報道によると、収益が比較的に安定しているにも関わらず、ブラックストーンが中国商業用不動産市場から撤退することに、国内業界関係者が理解に苦しんでいるようだ、と伝えている。
また不動産以外に、香港証券取引所の9月16日の取引関連データによると、ブラックストーンは保有する中国鉄道建設大手の中国中鉄グループの株式を、1株1.85~1.874香港ドルで1.66億株を売却した。売却後、ブラックストーンの中国中鉄株式保有率は当初の7.36%から3.42%に減少した。
ブラックストーンの中国における投資規模の縮小に関して、国内では大きな反響が及んでいる。多くのネットユーザーは、同社の撤退は、近い将来に中国不動産市場、特に商業用不動産市場の暴落の兆しだとの認識を示している。今現在中国の状況が、1990年代に多くの外国資本が日本から撤退した日本不動産バブル崩壊直前と似ていると指摘するユーザーもいた。
一方、商業用不動産市場は景気動向を測る一つのバロメーターだ。現在国内の大多数の都市部では、商業用不動産価格が比較的に低く、商業用物件の使用料(賃金)も高くないため、景気が緩やかな後退局面にあることを読みとれる。国内の報道では、上海などの一部の大都市では、保有する商業用不動産物件を売却した外資系大手企業は、ブラックストーンだけではなかったという。
国民の間では、「限購令」対象の拡大や固定資産税の徴収など、中国政府当局の不動産価格抑制政策の実施で、これまで中国経済のけん引力となった不動産市場は間もなく低迷を迎え、景気状況が悪くなるとの認識が広まっている。
この売却報道の約1週間後、「ブラックストーンが中国から撤退する」との世論で不動産市場に大きな混乱をもたらされるのではないかと危機感からか、中国のメディアは一転してブラックストーン傘下子会社の盈石資産管理有限公司が、民間不動産関連企業の鵬欣集団と業務提携をし、中国の不動産市場から撤退していないと一斉に大きく報道し始めた。
しかし、実際に盈石資産管理有限公司は不動産投資を行っておらず、鵬欣集団が展開している「水游城」(アクアシティ)ブランドの商業施設への運営・管理業務などに参与するだけだ。先行きが不安定な中国不動産市場に対して、ブラックストーンが当面、様子見の姿勢を保つことを示したと思われる。