【大紀元日本10月5日】広東省沿岸の化工工場から大量に排出された廃水が付近の海域を汚染。魚は石油臭を帯び、牡蠣からは基準値740倍以上の銅、90倍以上のカドミウムが検出されている。専門家らは、珠江口の海水と堆積物には、重金属や有機汚染物の基準値を超える含有量が多く、水産物の採取にあたっての注意を呼び掛けている。
市内に位置する広東省深圳湾福田紅樹林海浜生態公園は、中国の自然保護区としては面積は最小だが、英国女王やデンマーク野生動物保護基金の会長・ヘンリク親王が訪問した経歴を誇る美しい見所だった。しかし、現在は汚水の溜まり場となり、耐えがたい異臭を漂わせている。
3日付の地元紙・羊城晩報によると、広州建滔石油化学有限公司から海に垂れ流しにされている廃水は、付近海域を黄褐色に染め、刺激臭を放っている。地元の漁民らは、これまで多くの魚類がこの海域から姿を消しており、獲れた魚は油の匂いが充満すると語っている。
同報道によると、こうした企業廃水のほか、広東省内で年々増加する生活排水も海に垂れ流しにされている。2010年だけで、全国トップにあたる54億トンの生活排水が記録されている
これらの廃水による汚染に専門家は注意を喚起している。化学薬品の生物への危害を研究・測定する郭鵬然博士は、珠江口の海水と堆積物には、基準値を超える重金属や有機汚染物が多く、水産物を通して人体に害をもたらすと警告した。
また、中国科学院南海海洋研究所の黄小平博士は、重金属の汚染は珠江口海域の生物に甚大な被害をもたらしていると指摘する。黄博士によると、スズキの一種であるカンダリからは基準値の24倍のクロムと48倍の鉛が検出されている。市民の食卓に上るトカゲエソからは、基準値53倍の鉛が検出されている。最もよく食される牡蠣からは、基準値の740倍の銅と90倍のカドミウムが検出された。
広東省近海の深刻な汚染問題のため、近年、野生のイルカの体内から大量の石油系炭化水素が検出されており、サンゴが大量死する現象が起きるなど、近海の生態系にまで影響が及ぼされている。