【大紀元日本10月15日】インドを公式訪問中のミャンマーのテイン・セイン大統領は14日、首都ニューデリーでシン大統領と会談した。AP通信によると両国は、国境間貿易をより盛んにさせる陸海輸送路の整備と、天然ガスパイプライン建設計画の速度を上げることなど、関係を強化することで合意した。インドにとって、同様にミャンマーの天然資源を狙う中国をけん制する狙いがあると見られる。
インドの発表によると、ミャンマーを縦断するカラダン川を整備し、インドと繋ぐ輸送路とする「カラダン・マルチ輸送路事業」の推進と、かんがい事業などのために、新たに5億ドルを支援するという。
また共同声明において両国は、エネルギー安全保障の必要性も強調し、ミャンマーは、インドからの国内天然資源への投資をよりいっそう促す。インドは、すでに民間・国営企業においてミャンマーに相当な投資をしている。
巨大な新興国として共通点を持つインドと中国は、隣国であるミャンマーの天然資源に強い関心を持っている。インドのこのたびの5億ドル支援の発表は、中国との資源獲得競争を更に加速させることとなる。
インドには12日、ベトナムのチュオン・タン・サン大統領が公式訪問している。相次ぐ東南アジアの国の代表訪問に、「ミャンマーとベトナムは長くから歴史的に深い関係にある。中国も例外でなく、競争はない」と、インドの外交問題省スポークスマン・ヴィシヌ・プラカシュはAP通信に対して話した。
40年間もの軍事政権が続いたミャンマーでは、今年3月に新政権が発足して以来、真の民主化への兆しが顕著に見られる。経済改革と言論の自由を掲げるセイン新政権は、民主主義活動家アウン・サン・スーチー氏と対話し、少数民族の武装勢力には対峙ではなく平和を求め、約200人の政治犯を釈放した。そして中国の反発を買うことを辞さず、「国民の声の反映」として巨大ダム建設の中断させた。
経済誌「エコノミスト」は8日、「ビルマの春?ミャンマーの希望」という記事において、経済制裁の解除を狙ったものであるとの見方を踏まえたうえで、西側諸国はミャンマーの改革への努力を賞賛し、テイン・セインを認めるべき、と評した。
日本国内メディアによると、ミャンマーの外相が来週、16年ぶりに日本を訪れる。玄葉外務大臣は、ミャンマー政府が旧軍事政権に批判的な政治犯の釈放を始めたことを歓迎し、更なる民主化への動きを求めるという。