【大紀元日本10月17日】クリントン米国務長官は現地時間14日、ニューヨーク経済クラブで開かれた産業界トップらとの会合で、人民元の為替を操作する中国政府の政策を改めて非難、そのマイナス影響を受けている先進諸国は連携して中国政府に改善を求めるべきだと述べた。ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント(GSAM)のジム・オニール会長も、人民元の切り上げは中国経済の持続発展のキーポイントであるとの見解を示した。一方、中国政府は国際社会のこのような声に対して、反発の姿勢を続けている。
先進諸国は、中国側が人為的に人民元の相場を低く抑えることによって、中国の輸出製品が価格競争で優位に立つことになり、先進諸国に失業率の上昇などの経済損失をもたらしている、と批判してきた。
クリントン長官は、「米国は立ち上がって、これは受け入れ難いことだと声を上げるべき」と述べた。
同長官は、中国側のこのような作為は世界貿易体制を翻弄していると指摘、米国だけでなく、世界の他国の経済にも不利益をもたらしているため、関連諸国も人民元の引き上げを求めるべきだと強調した。
同長官は、中国政府に対して有効な対応を講じるには国際的な連盟を設立すべきとも提言した。
米国上院は11日に「中国貨幣法案」を可決した。同法案は中国政府が人民元の為替を操っていると結論付けるもので、下院でも通過すれば正式に成立する。そうなると、米国は中国からの輸入品に対して、ダンピング防止税を課すことができる。
下院の多数議席を占める共和党は、同法案の審理には消極的である。反対意見としては、貿易戦争を引き起こす恐れがあるとの見解が出されている。それに対して、クリントン国務長官は不必要な憂慮だとの見解を示し、「この法案は米国の国際義務に沿っている。正々堂々と我々の主張を表明するのは、どこが間違っているのか」と述べた。また、同長官は、法案を成立させるために、米国の政界と産業界は従来の一致団結の精神を再建すべきだと呼びかけ、「本件については自分たちの政治論争に陥る余裕がない」と苦言を呈した。
GSAMのジム・オニール会長も人民元為替の是正の重要性を指摘した。同氏は14日、香港科学技術大学での演説で「中国の世界工場としての時代はすでに終わった。この種の転換に順応するため、人民元の為替はもっと円滑的になるほかない」と分析した。
オニール氏は、中国経済は2008年~2009年の間、そして最近の数カ月間において減速してきたことを取り上げて、これは中国の指導部が輸出依存の経済構図を見直す良いきっかけであると述べた。
「中国は、低付加価値製品の輸出国としての時代は幕を閉じた。私が思うにはこれは明確な事実である。だからこそ、中国は経済成長を維持するには別の発展方向を見出さなければならない。これまでの10年間のように、世界でナンバー・ワンの低技術製品のメーカーとしての地位を保つのは不可能だ」
同演説終了後の記者の質問に対して、同氏は、中国の為替政策は経済構図の転換が成功するかどうかの重要なキーポイントだと述べた。
一方、中国政府は、米国の圧力に屈しないとのメッセージを表明した。上記の中国貨幣法案への強い抗議の意向を示し、同法案が成立した場合、貿易戦争を引き起こすことになるとし、そうなれば世界経済の回復には不利だと強調した。中国外交部の崔天凱・副部長は10日の記者会見で、米中関係に強く影響する可能性を示唆した。
中国国内メディアは15日、温家宝首相の談話として、中国の輸出企業を守るために、中国政府はいっそう「基本的に安定した為替」を支持すると報じ、世界貿易に負の影響を与える貿易保護主義をさらに打撃するよう同首相が呼びかけたと伝えた。