【大紀元日本10月18日】 他国メディアの取材規制が厳しい中国国内では、しばしば当局によるインターネット監視・検閲が、自由な取材行動の妨害になっている。このたび、タイムズ誌とニューヨーク・タイムズの中国駐在記者は、メールが受信できない、また何者かにハッカー攻撃されて、メールが改ざんされるなどの被害体験を、各紙記事にて語った。
タイム誌記者、謎の中国語ファイルをばら撒くよう設定される
タイムズ誌の駐中記者ハンナ・ビーチ(Hannah Beech)氏は、自分の電子メールアカウントが中国語を使うハッカーに攻撃され、謎の中国語ファイルをばら撒くよう設定されていたとの被害体験を、同誌記事にて明かした。
ビーチ記者がこの問題に気づいたのは、同記者が送った覚えのない中国語添付ファイル付きの電子メールが、インド西部のダラムサラにあるチベット亡命政府の新任首相ロブサン・センゲ氏宛てに送られていたことを知ってからだ。
このメールを受け取ったセンゲ氏は、ビーチ記者の署名つきのものであるが、英字のフォントが他のメールと違い、文脈自体も自然ではないため、不審に思っていた。ロブサン氏は、このメールはビーチ記者からではないと疑い始めた。そして返信しようとすると、返信先はビーチ記者ではなく、自動的にダライ・ラマ14世の私設秘書宛のものになっていた。つまり、ビーチ記者の電子メールは、アドレス帳にある宛先に謎の中国語ファイルをばら撒くように設定されていたのだ。
ビーチ記者は、「ファイアウォールはFacebook、Twitter、Youtube、Blogspotなどのサイトを封鎖しただけではない。最も不安を誘うのは、自分が入力した一字一句は全部監視されているかもしれないことだ。あなたが出したすべてのメール、書き込んだすべてのコメントがだれかに把握されているかもしれない」と記事に書き、ハッカー攻撃に警戒するよう促している。
ニューヨーク・タイムズ紙記者が受けたハッカー攻撃
北京在駐のニューヨーク・タイムズ紙記者アンドリュー・ジェイコブス(Andrew Jacobs)氏も昨年3月、自身の中国語を使うハッカーによる被害経緯を、同紙に発表している。
それによると、同僚と友人たちから一時、送ったメールが数週間経過しても返信がないとの問い合わせが相次いでいた。しかし、ジェイコブス記者はこれらのメールを全く受信できていなかったという。
「自分のメールボックスはほぼ毎日、エラーになって使えなくなる。アドレスブックのすべてのデータが二度目に完全に消えたとき、私は本格的な調査を始めた。その結果、自分宛のメールは、全部ある中国ドメインの見知らぬアドレスに転送されていることがわかった。何者かがハッキングして転送設定した可能性が高い」
ジェイコブス記者は、「銀行口座のパスワードとプライバシー情報を盗む悪意のあるソフトと違って、この種の攻撃はスパイ行為に酷似している」と指摘した。