【大紀元日本10月29日】2007年から2008年の間、中国軍部のハッカーが4回にわたり、2基の米国衛星に攻撃を仕掛けた疑いが強まっている。ブルームバーグは、米議会の米中経済・安全審査委員会の2011年度報告草案の内容を引用して報じた。
報告によれば、攻撃を受けたのは、NASAおよび米地質調査所が管理する地球観測衛星Landsat-7と、NASA管轄下にあるTerra AM-1。Landsat-7は2007年10月と2008年7月に、それぞれ12分間以上にわたり侵入されており、Terra AM-1は2008年6月と10月にそれぞれ2分間と9分間アクセスされた。
ハッカーらはノルウェーのスピッツベルゲン諸島にある衛星の地上制御システムから、2基の衛星への攻撃を仕掛けた。同報告は中国政府が黒幕とは明言していないが、これらのハッキング行為は中国軍部が推し進めた「敵の宇宙システムを故障させる」理念と一致し、特に中国軍部が興味をもつ「衛星の制御システムなどの地上設備をダウンさせる」手段と同じだと指摘した。
ハッカーによる干渉行為は「多くの潜在的な脅威をもたらす」と報告書は警告する。「衛星のアクセス権を手に入れれば、ハッカーらはその衛星を破壊し、または、衛星からの送信信号を偽造・操作・拒否することができる」という。
今年に入ってから中国によるサイバー攻撃疑惑が相次いだ。25日に明らかになった衆院のネットサーバーや議員らの公務用パソコンがサイバー攻撃を受けたことについて、朝日新聞は「中国国内のサーバーに強制的に接続させられていた」と伝えた。
さらに、日本の在外10公館のコンピューターがウイルスに感染した問題で、発見されたウイルスは端末からID情報などを中国国内の複数のサーバーに送信させていたことがわかったという。
先月に起きた三菱重工業などの防衛産業がサイバー攻撃を受けた問題でも、中国で使われる漢字が見つけられたため、同国の関与が浮上していた。8月にはマカフィー(McAfee)が、72の国・組織を標的とした大規模なサイバー攻撃の背後には「ある国家」が関与していると示唆し、ハッカーらが政府の支援を受けていると結論付けている。ワシントン・ポスト紙は専門家の見解として、「ある国家」は中国の可能性がもっとも高いと報じた。
陸・海・空・宇宙に加え、現在、「戦争」はサイバー空間にも広がっている。米国防総省は6月に、外国政府によるサイバー攻撃を「戦争行為」と見なすとする方針を表明した。
一方、疑いが重なる中国は一貫してこれらの疑惑を否定している。今回の一連の米衛星に対する攻撃について、ワシントンにある中国大使館の広報担当者・王保東氏は中国の関与を否定し、報告をまとめた米中経済・安全審査委員会が「中傷」していると非難した。「同委員会は長年、中国を中傷するために裏付けのない話を収集してきた」と批判した。
さらに王氏は、「中国は他国の安全利益を損なう行為をしたことはなく、他国と協力してネット犯罪の取り締まりに尽力している」と表明した。