【大紀元日本11月12日】国際的な人権擁護のためのNGO、ヒューマン・ライツ・ウォッチ(本部・ニューヨーク)が10日、「地獄の細道」と題する報告書を公表した。中国での闇監獄の存在を指摘し、一部の実態を明らかにした。
36ページに及ぶ同報告書では、闇監獄は北京を含む中国の各大都市に存在しており、「公然の秘密」と指摘。その大多数は地方政権が闇社会と連携して、設置・運営していると記述している。
監禁されているのは、上級政府に直訴を試みる農民が中心だという。
闇監獄の設立背景について、同報告書は次のように説明した。
違法な農地の強制収用や、幹部の汚職、警察の拷問などの人権侵害の被害を解決するため、多くの人民は北京などの主要都市を訪れて、上級政府や司法機関に直訴を試みる。直訴者が多すぎると、地方政権の政治実績の評価が下がり、中央から処罰される可能性もあるので、一部の地方政権は直訴を阻止するため、闇監獄を設置して、直訴者を拿捕している。
中国紙「南方都市報」は、昨年の関連報道でこの現状を明らかにした。それによると、警備会社・北京市元鼎保安公司は地方からの直訴者を違法に秘密監禁して、地方政府から人数分の報酬をもらっている。この警備会社は、公安当局から正規の営業許可を交付された一般企業である。
同報告書は、「闇監獄の運営者は毎日、関連の地方政府に現金報酬を請求する。直訴者一人を拿捕すれば、150~200元(1元は約12円)の報酬が得られる」と記している。
同報告書は被害者の証言として、闇監獄の実態を伝えた。それによると、食事時間、睡眠時間の剥奪、治療の申請拒否、暴行、服を剥ぎ取りなどのリンチも日常茶飯事である。
また、18歳未満の未成年者も監禁の対象だという。
同報告書では15歳の少女が実際に監禁された事案を取り上げている。彼女は北京を訪れて、身体障害者の父にために直訴しようとした。拿捕された後甘粛省の老人ホームに2ヶ月以上監禁されて、その間ひどい暴力を受けたという。
ヒューマン・ライツ・ウォッチは、中国政府はこの種の闇監獄の存在を前から知っていたが、黙認状態で取り締りはないと指摘した。
一方、中国政府はこれまでに度々、闇監獄の存在を否定してきた。