【大紀元日本11月22日】 米国議会に対中国政策を提言する「米中経済・安全保障調査委員会」はこのほど、年次報告書を提出した。同委員会のウィリアム・ラインシュ委員長は、中国の軍事力の発展と意図が不透明であることは、国際社会の誤解と憂慮を招いていると指摘し、中国は貿易ルールを操作して自国企業に利益を運び、米国やその他の外国企業の利益を損なっている、と発言した。
ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、16日に議会に提出された同報告書には、米中貿易と経済の関係、米国の国家安全に直接影響する中国の活動、軍事力の発展、南シナ海の領土問題での外交政策などのテーマが含まれている。
報告書の序文にはラインシュ委員長の見解が記されている。「中国が世界貿易機関(WTO)に加盟してすでに10年目になった。中国は多くの領域において進展が見られた。例えば、関税の引き下げや、一部の輸入制限措置の廃止など。しかし、中国はさらに多くの分野を改善しなければならない。例えば、知的財産権の保護、貿易障害の軽減、WTO加盟時の約束事の厳守など」
ラインシュ委員長はさらに「最も不安なのは、中国は貿易障害の軽減と、外国製品とサービスを公平に扱うという約束を守らないことだ。2009年、中国政府は一連の政策を制定して、外国企業の製品とサービスを政府発注リストから除外した。これらのいわゆる『自主開発』の政策の狙い目は外国製品とサービスを差別し、中国の製品で取って代わること。目的は外国企業の先端な技術を中国側に供与させること。これらの政策に加えて、知的財産権が有効に保護されていないため、米国の最大の経済力である技術開発が深刻な打撃を受けている」と述べた。
また同委員長は、中国政府がここ数十年間、軍事の現代化を追求し続けてきたと指摘。「無論、各国には自衛の権利があるが、中国の軍事力の発展と意図はとかく不透明で、誤解と憂慮を招く」と警告する。
「中国の経済および軍事力の発展により、中国政府の立場は国際舞台でますます強硬なものとなっている。例えば、南シナ海の領土問題について、中国側は領有権を主張する他国の不満を押し切って、多国間の領土紛争を複数の国との両国間問題として片付けようとしている。しかも、その増強を続ける海軍の力も一層、政府を強気にさせている。同海域で石油探査するインドや、ベトナム、フィリピンの船は度々中国側の嫌がらせを受けており、北朝鮮とイランの問題においても、中国は自国の利益を、地域ひいては世界の安定よりも重要視している」
同報告書は中国のインターネット技術にも言及する。「多くの証拠が集められ、中国政府は外国の産業界および政府機関のコンピューターシステムをサイバー攻撃していることが証明されている」と記されている。
「最も注目している問題は、中国が国際社会と融合する過程において、WTOに加盟したばかりの頃、国際社会は多くの期待を託した。しかし、いまではますます失望させられている。米国は中国の国際社会の仲間入りを支持した。しかし中国の政策は自国の短期的な利益しか考えず、国際社会の全体の利益をまったく顧みない。米国は中国を説得して、自国にも有益で世界の大局をも考慮する一石二鳥のやり方を薦めている。わが委員会の毎年の年度報告書は、米国議会に中国の問題点を報告している」と同委員長は話した。
また人民元の引き上げ問題についても、同報告書は、中国政府は為替相場を操作しているとの見解を示した。
米国議会は2000年、中国がWTOに加盟する前、中国に関する諮問委員会である「米中経済・安全保障調査委員会」を設立した。その役割は、米中貿易と経済関係に係る国家安全への影響を議会に報告し、必要なときに、対中国政策について米議会に提言することである。