【大紀元日本11月23日】ハワイで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)期間中、明るい黄色のTシャツを着た100人ほどの法輪功学習者たちが参加国代表に向け、中国政府による弾圧の停止を訴えた。この様子は日本を含む各国の多くのメディアが伝えているが、中国大陸メディアだけは伝えていない。中国で最初に伝わった伝統的な気功法・法輪功による「迫害やめて」「法輪功は良い」という明快なメッセージを、本土中国のメディアが報道しないという奇妙な状況を、現地ハワイの新聞記者が伝えている。
ハワイの地方紙「シビル・ビート」の記者ダイアン・リー氏は、APEC期間中に中国大陸からの記者たちが何を報道するかを追随する任務を与えられた。中国の標準語と広東語に堪能なリー記者は、APEC期間中、複数の大陸から来た記者と会話を交わしていくことで、数々の中国大陸の報道規制を目の当たりにする。
中国人記者との具体的なやり取りは次のようなものだった。リー記者は、中国人記者とプレス・ルームで互いを紹介した後、同社のウェブサイトを見せ、ハワイでのAPECの印象などの体験を共有しようと試みる。
すると突如、その中国人記者はリー記者との会話を拒んだ。リー記者がその理由を尋ねると、中国人記者は躊躇しながらも、サイトのトップページに法輪功学習者たちの抗議活動の写真が掲載されており、中国には報道を監視する機関があるからだ、と答えてくれた。
リー記者は、同様のやりとりを他2人の中国人記者と交わした。自分の個人名や新聞名を伏せながら、法輪功関連の報道を拒むことについて「中国メディアは政府による厳しい監視下に置かれている。もし『間違ったこと』を書いたら、自分の職が危うくなる」と語った。
APEC会場のハワイ・コンベンション・センター前には、英語、中国語、日本語などで弾圧停止の弾幕を掲げ抗議を行う法輪功学習者がいる。「中国から来た記者からのインタビューはあったか?」とリー氏が尋ねたところ、学習者からは「いいえ」という短い答えだけが返ってきた。
リー記者はセンター内のプレス・ルームに戻り、中国人記者に先ほどの抗議活動について興味はあるのかと尋ねると「どこで?」という返答が来た。さらにリー記者は、センターの真正面にいる法輪功のことだが、と聞き直すと「(報道)できない」と中国人記者は答えた。
中国の「報道のタブー」を目の当たりにしたリー記者は、自分が報道の自由と保護の下で活動できることを改めて認識したという。
ハワイ・コンベンション・センター前での法輪功の抗議活動をビデオに収めたリー記者がその場を去ろうとすると、ある法輪功学習者が呼びとめ、「ジャーナリストか」と尋ねた。リー記者が「そうだ」と答えると、その学習者は礼を述べたという。「良い仕事をした」とリー記者は胸の内で思った。