【大紀元日本11月24日】北朝鮮の携帯電話利用者は年末までに100万人を突破すると予測されている。ロイター通信が伝えた。北朝鮮では4年前まで、携帯電話を所持した場合、投獄され、最悪の場合、処刑されていた。
エジプトの大手携帯電話会社オラスコム・テレコム社の報告書を引用したロイター通信20日付の報道によると、同社は2008年末に北朝鮮での携帯電話事業を開始しており、その事業には、北朝鮮の国営通信会社が25%出資しているという。
同報告書によると、今週中には、北朝鮮の携帯電話利用者数は80万人に達し、昨年同期の30万人を大幅に上回る。一昨年の利用者は7万人だったという。
北朝鮮国内の携帯電話通信事業は、中国との国境地域から流入した廉価な携帯電話がきっかけだ。その後、2004年の龍川列車駅での爆発事件を受けて、北朝鮮当局は携帯電話の禁止令を発令。当時、金正日・総書記が乗っていた列車が同駅を通過した数時間後に、駅で爆発事件が発生した。当局は爆弾の遠隔操作は携帯電話によるものとしていた。
その4年後の2008年、北朝鮮当局は携帯電話禁止令を解除した。その理由について「通信産業を開放しないとIT技術の開発が大幅に遅れてしまう恐れがある、と当局が認識したため」とロイターは報道している。
その後、エジプトのオラスコム・テレコム社が北朝鮮で3G回線を建設し始めた。
首都ピョンヤン在住のマイケル・ヘイ弁護士はロイター通信の取材に対して、ビジネスマンだけではなく、喫茶店の女性店員も携帯を所持しており、電源も常にオンにしていると話した。
米シンクタンク「ノーチラス研究所」が今月発表した報告書によると、ピョンヤン在住の20歳~50歳の年齢層の60%が携帯電話を所有しており、ビジネスマンにとって携帯電話は欠かせない必需品だという。
一方、庶民にとって、携帯電話の料金は極めて高額だ。今年に入って若干値下げはしたが、新規加入の費用は350ドルで、一般労働者の平均月収15ドルの20倍にあたる。
ほとんどの人にとって携帯電話は高嶺の花であり、「とても高価で、それほど多くの人が持っているわけではない」と脱北者は語る。
ロイター通信の報道によれば、現在、北朝鮮の携帯電話の通話品質は満足のいくものではない。通話中に電話が切れてしまうことがよくある。また、国際電話もかけられず、国内にはインターネット環境がない。当局は外部情報の流入ルートを完全に封鎖している。
携帯電話の信号が届く地域は14%しかないとロイター通信が報道しているが、一部では、基地局の整備が進み、約7割の居住地で通話が可能だという情報もある。
中東やアフリカでの独裁政権が崩壊した過程で、携帯電話による情報伝達は極めて重要な役割を果たした。北朝鮮にで、携帯電話の普及がどのような結果を導くか、注目されている。