【大紀元日本11月24日】ここ30数年の経済成長に伴い、中国の環境汚染問題は日増しに深刻になっている。これまでに一部の大手企業の汚染問題が、メディアを通して暴露されてきたが、底辺にある小規模石炭産業の汚染問題は、全く重視されていないため、被害者らはただ汚染被害に耐える以外、なす術がない。湖南省の青樹二石炭がその一例に当てはまる。BBC中国語サイトが伝えた。
BBCは、同省青樹二石炭の汚染問題を長期にわたり追跡してきた北京の作家・馬蕭氏を取材した。同氏によると、同石炭は1990年の半ばから汚染問題が生じ、2000年に入って状況が深刻化したため、村民は石炭企業および地元の鎮政府への訴えを、省政府への陳情へと方向転換したという。
しかし、極少数の村民が一時的な補償を与えられた程度で、最も重要な環境汚染問題への対策は一切なかった。その上、陳情した村民らは、報復とみられる暴力を受けたという。
同氏の調査によると、石炭の影響で地元の地下水資源が全て枯渇してしまい、回復はもはや不可能だという。そのため、農地も枯れ果て、食糧生産は壊滅的である。また、現在村民が飲んでいる井戸水も、すでに大量の農薬・化学肥料などの有毒物質の汚染を受けている。さらに、石炭採掘の際に生じる粉じんなどが地元の空気を汚染しており、多くの村民が呼吸道疾病、腎臓結石、珪肺(けいはい)に罹っているという。
今年に入ってから地元当局が厖大な資金を投入しており、環境汚染をさらに深刻化する可能性が大きいガスの発電所を建設した。この時も、国が定めた「環境影響評価法」に従って地元村民らの同意を得る過程を踏んでいないと、同氏は指摘する。
地方政府は地元の税収を最重視するため、往々にして環境保護の意識さえも排除してしまう。場合によって個人の利益が絡み、住民らの陳情を無視することも多々ある。