【大紀元日本12月6日】中国政府はこのほど、ユーロ圏の金融危機への支援に関して、中国の外貨準備高を切り崩して関連諸国を支援する用意はない、という明確なメッセージを発表した。
ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の関連報道によると、2010年9月末までに、中国の外貨準備高は約3兆2千億ドルに達した。主な投資先は米国の国債、欧州連合の主権債務、その他の国際債券などである。
世界的金融危機が広範にわたってユーロ圏に深刻な影響をもたらす中、ブルガリア、アイルランド、ギリシャなどの各国は、相次ぎ経済援助を申し出ている。欧州第三位の経済国イタリアもこのほど、欧州金融安定基金(EFSF)に支援を要請した。
このような状況下で、中国政府の支援を期待する声が高まり続けている。
中国外交部の傅瑩・副部長は外交部の「藍庁論壇」で、中国が欧州を援助すべきという国際社会の見解について「根拠がない。国内の貧困援助にもこの金は使えない。諸外国の発展を支持するためにも使えるものではない」と明確に断った。
VOAは「傅瑩・副部長の談話は、中国が巨額の外貨準備高を切り崩して、金融債務に苦しむ欧州を支援することはないことを明確に示唆するもの」と報じた。
同副部長は、外貨準備高は中国の国家貯蓄であり、1997年のアジア金融危機で中国はその重要性を十分に認識したと述べ、欧州の主権債務への援助において、中国はこれまで関連する国際協力には欠かさず参加してきたと主張した。
今年10月、欧州連合諸国の指導者たちはユーロ圏の援助資金の増額を同意し、欧州金融安定基金が4400億ユーロから1兆ユーロまでに引き上げられた。その後、フランスのサルコジ大統領は中国の胡錦濤・総書記に電話をかけ、支援を要請。欧州金融安定基金の最高経営責任者(CEO)クラウス・レグリング氏は10月28日、北京を訪れた際に、欧州は投資家に優良な金融商品を提供すると述べ、欧州の債券は中国の外貨準備高の安全な投資先になるとアピールした。
一方、胡錦濤・総書記は10月31日のオーストリア訪問の際、欧州連合が中国の完全な市場経済の地位を認め、中国へのハイテク技術の輸出制限を解除するよう、オーストリア政府に積極的に働きかけてほしいと述べた。一部では、中国政府は完全な市場経済地位を認めてもらう見返りとして、欧州への債務援助を行うのではないか、と指摘されていた。
中国中央銀行の貨幣政策委員会の李稲葵・委員は、中国が支援するかどうかは、その関連諸国の貢献によって決まるなどと述べた。
VOAの報道によると、オハイオ州トレド大学のアジア研究所のジャンシン所長は「世界経済がグローバル化する今日、各国の貿易と経済が互いに依存している。欧州諸国の債務危機が収拾がつかないほど深刻化すれば、中国にも影響をもたらすので、中国政府は援助の手を差し伸べるべきだ」と指摘している。