【大紀元日本12月21日】広東省汕頭市で20日、数万人による大規模な抗議活動が発生した。新たな火力発電所の建設に抗議するもので、現地ですでに稼働している石炭火力発電所が深刻な環境汚染をもたらしていることを住民側は主張。子供たちのためにも抗争を続けると固い決意を表明している。
抗議活動があったのは汕頭市の海門鎮。同鎮はかつて優良な漁港として有名だったが、2006年に中国5大電力会社の1つ、華能グループが海門で火力発電所の建設に着工して以来、現地の生態環境がひどく破壊されたという。
英BBC(中国語版)によれば、同発電所の100万キロワットの発電機6台の稼働にともない、海門近海の水産品は深刻な被害を受け、重金属の含有量が基準値を大きく上回る状況になっている。中国国内メディア財新網も、海門付近の河川に含まれる重金属が国家基準を大きく超えていることを報じている。漁業で生計を立てていた海門鎮の人々は、生活の営みが難しくなり、健康も脅かされているという。
こういった中、海門鎮当局は新たな石炭火力発電所の建設を受け入れている。ラジオ自由アジア(RFA)は、20日午前、数万人の現地住民が鎮政府ビルを包囲し、新たな発電所建設に抗議したと伝えた。当局者が抗議者の主張に対応しなかったため、抗議がエスカレートし、一部の抗議者はビルのキャノピーに立てこもり、さらに一部の抗議者は深センー汕頭間の高速道路を塞ぎ、海門を出入りする車の通行を停止に追い込んだ。
これに対して大量の武装警察が出動し、催涙ガスを発射した。新浪微博では2人の16歳の中学生は武装警察に殴られ死亡したとの情報も流れている。BBCが公安当局に確認を入れたところ、当局は2人の死亡は否認。しかし、警察との衝突の中で数人は負傷したことを証言した。一方、AFP通信は抗議参加者からの電話情報として、100人を超える民衆が警察に殴打されたと伝えた。
今回抗議活動が起きた海門は、今も抗議が続く烏坎村から115キロしか離れていない。点から線に広がりを見せる抗議活動は、来年交替にさしかかる中国の指導部にとって、政権を根底から揺るがしかねない大きな難題となっている。