【大紀元日本1月5日】昨年12月30日、寧夏回族自治区でモスクの強制撤去を巡り、中国最大のイスラム教徒民族集団・回族村民と警察の衝突が発生した。BBCはこの衝突により少なくとも5人が死亡、50人以上が負傷し80人以上が身柄を拘束されたと伝えている。
中国人権民主運動情報センターによると、当局があるモスクを「違法な宗教活動場所」と見なし、警察を出動させ同自治区同心県河西鎮の桃山村を包囲し、改築が完了したばかりのモスクを強制的に取り壊そうとした。その際、現地の回族数百人と警官の間で衝突が発生したという。
現在、他省に出稼ぎに出ている桃山村村民の金海涛さんがネット掲示板「天涯論壇」に貼り付けた内容によると、衝突当日、当局は拳銃や警棒を装備した武装警察、特殊警察など1000人余りで同村を包囲し、「違法な場所」とされたモスクを取り壊すと通告した。さらに、警察は高圧水発生装置や催涙弾を使用し、村民らを強制退去させようとしたと金さんは書き込んでいる。
自称、河西鎮のイスラム教徒は上記の掲示板書き込みを証明する話をした。彼の話によると、当時、周辺には戒厳令が敷かれていた。また、1000人以上の武装警察が派遣されてきたことや別の村の村民2人が暴力を受け死亡したとの話も、現地住民から聞いたという。
「私が行った時、彼ら(警察)はモスクを取り壊していた。100人以上の村民が連行され、彼らの携帯電話などは全て没収されていた。彼らがどこへ連れて行かれたのかは分からない。当時、村には赤ん坊や年配の女性だけが残された。2日になり、一部の人や子供が釈放され、私の義兄も戻って来たが、姉はまだ戻ってこない」
金海涛さんによると、このモスクは80年代に建てられ、1996年同心県で県内のモスク登録が行われた際、このモスクも登録されている。正殿の雨漏りがひどいため各地のムスリムが80万元以上の資金を集め、モスク全体の再建を行った。今年の元旦に落成式を行う予定だったという。
その落成式に参加するため、多くの人々がモスクに祝いに来ていた。衝突当時、モスク内にいた教徒たちはみな負傷し、警察に殴られ血を流しており、死者も出ているという。死亡した人の中には80代の女性や、他の地域からモスクの祝典に参加していたイスラム教徒もいたと、金さんは書いている。
河西鎮の多くの人々の話によると、現在、現地ではネットがつながらず、携帯電話の電波も遮られている。ただ、桃山村のモスクが強制撤去に遭い、多くの人が連行されたことしか分からず、具体的な事は明らかになっていない。
大紀元記者は同心県の宣伝部に電話し、職員に詳細を尋ねたところ「衝突は外部が伝えているほど深刻ではない」と答えた。また、このモスクは違法建築であるとも主張し、死傷者については「出ていない」と否認、逮捕者もいないと答えた。
現在、寧夏回族自治区の回族人口は217万人。モスクは3760か所存在し、およそ577人に1か所のモスクがあることになる。