【大紀元日本1月7日】中国国内の34の衛星テレビ局は1日から、政府の制限令を実施し多結果、娯楽番組が昨年に比べ69%減り、ニュース番組が33%増えたことが明らかになった。この措置は、民主や自由などを求める欧米の思想が中国共産党の存在基盤を脅かすことへの中国政府の危惧を浮き彫りにした。
措置により、週126本放送された娯楽番組は38本まで減り、夜7時半から10時までのゴールデンタイムの娯楽番組の放送時間は、1時間半以内と定められた。一方で、ニュース番組は毎晩、30分枠を2回以上放送することが義務づけられており、1日のニュース番組の放送時間は2時間以上であることが求められた。
措置のきっかけは昨年10月、胡錦涛主席が中国共産党第17期第6回の会議で行った講話にある。この講演は1月号の共産党機関誌「求是」に掲載された。
胡主席の講話
フランスのフィガロ紙が「もっとも強硬な表現」と評する胡錦涛主席の講話には、このように記されている。
「文化を制する人、文化のソフトパワーを有する人だけが、激烈な国際競争において主導権を握る」「われわれは、国際敵対勢力がわが国を欧米化・分裂化しようと目論む戦略を一段と強めていることを、はっきりと認識しなければならない」「イデオロギー領域での戦いの厳しさと複雑性を肝に銘じ、警鐘を長らく鳴らし、警戒を永らく抱き、有力な措置で防御・対抗しなければならない」
さらに、「中国の文化パワーと影響は中国の国際的地位と一致しておらず、『西強我弱』といった世界の文化と世論の構図が変わっていない」と、今後、共産党中国の文化パワーをさらに世界に広める目論みを明らかにした。
対内「回避」と対外「対抗」
胡主席の講話を世界各国のメディアが一斉に取り上げた。シンガポール紙・早報は、欧米の価値観や政治理念が中国社会に浸透しつづけている事態に面する中国指導部は、その浸透は最終的に共産党の性質に影響を与えることを恐れていると指摘した。
米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は胡主席の講話について、香港の政治評論誌「動向」の張偉国・編集長を取材した。張編集長は、この講話は国内に向けて「回避」、国外に向けて「対抗」という2つの態度を鮮明にしたと分析する。
「中国社会では各種の矛盾と不満が渦巻いている。共産党はこれらの問題を解決するかわりに、あらたな的を立て、人々の注意をそらしている。これは矛盾を回避するやり方だ」。それに対して、対外的には、中国の「核心価値」で世界の「普遍価値」に対抗する姿勢を前面に出している。また、この戦略を推進させるための財力を、中国政府は有するとも述べた。
AP通信は、中国の指導者らは自らの合法性を高めるために、欧米とイデオロギーや文化の領域で戦いを繰り広げているように中国を仕立てている、と指摘した。
「中国の国民は貧富の格差や幹部の汚職などに強い不満を持っている。そこにインタネットーの普及や経済力の向上が追い風となり、人々は自分たちにも政府を批判する権利があると考えるようになった」。まさにこの考えが指導部を脅かしているという。