中国名門清華大学の報告書、政治改革を辛口評価 ネット封鎖に遭う

2012/01/12 更新: 2012/01/12

【大紀元日本1月12日】中国の名門・清華大学は9日、2011年度の「社会進歩研究報告書」を公表した。政府は社会安定の維持に気を取られてばかりで、政治改革を停滞させていると記した。同報告書は政府メディアに掲載されてから、ウェブサイトでは大量に転載されているが、ここにきて全部取り下げられた。

報告書を作成したのは、同大学「凱風・発展研究院社会進歩研究所」と「社会学部社会発展研究チーム」という。

同報告書は、今では政治改革が窮地に陥っているのは紛れもない事実であると指摘し、近年、一連の重要な改革措置は実施されておらず、政治体制の改革はあまり進んでいないと報告した。

また、「過去において、我々はあまりにも漸進式改革を強調し過ぎていた。今となって、漸進式改革を行う国家が転換期においては、落とし穴に陥る危険性が遥かに高いと分かった。なぜならば、漸進する過程において、(政権の幹部からなる)既得利益の集団がより形成しやすくなるのだ」「一部の人は、『改革がすでに河の深水部にたどり着いたため、前進の勢いが緩んでいる』と認識しているのだが、実際のところ、いまの中国の改革の状況はそうではない。改革の初期に、『石を叩きながら河を渡る』という発想は確かに現実的な選択だった。しかし、いまの問題は、石叩きが癖になったためか、河を渡る意欲すらなくなった」と同報告書は記した。

そのほか、報告書は、中国が転換期の落とし穴に陥った症状として、激しい貧富の格差、経済発展の停滞と畸形化、留まらない社会道徳の堕落などを挙げ、「(政府が)社会資源を動員して総力で社会安定の維持に取り組み、特殊な時期の特殊なやり方を慣例化させている。そのため、わが国の政治、経済、社会生活は非常に正常ではない状態にある」と記した。

この報告書について、山東大学を定年退職した元教授・孫文広氏は10日、ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材で、次のように現状を分析した。「現在、中国当局は政治改革に恐怖心を抱いている。改革により自分たちの根本的な利益が失われるのを恐れ、その権力が脅かされるのを恐れている。いまだに、第一線で最も低いランクの幹部職すら、国民に選挙で選ばせようとしない。我々は政治改革を希望し、国民選挙で幹部を選びたいが、彼らは頑としてそうさせない。農村の村役場の小役人の職すら、選ばせない。中国当局は国民の権利を頑として握って離さないのだ」。

中国政府メディアの「中国青年報」は9日、清華大学の同報告書を報道し、後に、全国大手ウェブサイト「網易」「騰訊」を含む数10のサイトもその内容を転載した。しかしここにきて、関連の報道はすべて取り下げられた。

ラジオ・フリー・アジア(RFA)の記者が中国青年報に電話取材したところ、対応した担当者は報道を撤回したことを認めたが、その理由について、説明を避けた。

(翻訳編集・叶子)
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