【大紀元日本2月25日】イランがフランスと英国への原油輸出を中止すると宣告した後、その他の欧州諸国にも同様な措置を発動すると脅している。それにより、国際市場では石油価格は9カ月ぶりの高値。一方、アナリストは、イランの石油輸出の削減は国際市場の石油供給に影響ないとみている。
イラン国営のメヘル通信が同国石油公社(NIOC)幹部の発言を引用して、イランに敵対行動を取る国家への原油輸出を停止すると報じ、フランスや英国への輸出中止を他の欧州諸国にまで拡大すると示唆した。
欧州連合は先月、7月1日からイランからの石油輸入を中止すると発表した。以来、イラン当局は、欧州諸国が他の石油供給ルートを確保する前に、早急に対応の制裁措置を講じると表明した。
フランスと英国への原油輸出の中止が伝えられてから、国際市場での石油価格は9カ月ぶりの高値になった。
一方、英国のヘイグ外相は20日、イランの同制裁措置は英国のエネルギー供給にいかなる影響も受けないと述べた。米エネルギー省の統計によると、2011年上半期では、イランからの英国の原油輸入は輸入総量のわずか1%しかない、フランスでも4%しか占めていない。
ボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、米国の非営利独立研究団体East-West Centerのベテラン研究員カン・ウ氏は、イランの制裁措置が石油価格に影響を与えるのは確かだが、国際市場での石油供給を左右することはできないと指摘した。同氏は、「イランの石油供給の問題がなければ、国際市場はむしろ需要不足であり、石油輸出国機構(OPEC)は価格を保つために減産する状況であろう」との見解を示した。
カン・ウ氏はVOAの取材に対して、「石油の現物供給において、サウジアラビアなどの国が(イランの輸出中止による)供給の減少を補える」と述べた。
米国のエネルギー取引のコンサルティング会社のソルク総裁は報告書で、イランの主要な石油輸出市場はアジアで、特に中国であると記し、「イランの制裁措置は欧州諸国への脅威は限定的である」と指摘した。
一方、エネルギー専門家の予測では、中国は引き続き、イランからの石油輸入を安定させる。前記のEast-West Centerのベテラン研究員カン・ウ氏は、「中国は国際社会の制裁措置に協力し、イランからの原油輸入を減少するはずがない。その一方で、イランからの輸入が絶たれるのを想定して次の策を講じている」と述べ、温家宝・首相が最近、サウジアラビアなどの国を訪問したのはその為の努力の一環であり、欧米諸国によるイランへの制裁に協力するためではないと指摘した。