【大紀元日本3月12日】今年秋に開催される第18回中国共産党の党大会で、総書記と国家主席のポストから退く胡錦濤氏は引き続き、軍の指導権を握り、党中央軍事委員会の主席を続投する可能性が出ている。中国共産党政権下では、軍は絶対的な力を持っているため、これまでに、その去就は注目の的となっていた。
香港紙「明報」は9日、北京の情報筋の話を引用してこのことを報じた。続投の期間については触れていない。
今年に入ってから、江沢民・前中央軍事委員会主席が抜擢した軍の三大重役、軍事委員会の郭伯雄・副主席と徐才厚・副主席、および総政治部の李継耐・主任は相次ぎ、現職のトップ胡錦濤氏を全力で擁護すると表明した。
温家宝・首相も今回の全人代で、3月5日政府報告を行う際、初めて党による軍への支配権を直接強調した。
明報は北京の情報筋の話として、中国軍部は今年に入ってからイデオロギー教育を強化したと報じた。それによると、上記の軍事委員会の郭伯雄・副主席と徐才厚・副主席を含む多くの軍部の高官は、「党中央、中央軍事委員会および胡主席の命令に絶対的服従する」と繰り返し強調し、胡錦濤・軍事委員会主席の軍部での権威をさらに高めさせた。
その後、3月7日、三大政府機関メディアの新華社、人民日報、解放軍報は一斉に7千字余りの共同報道を出して、軍への党の絶対的指導権を再三に強調した。
政治専門家らはこれらの動きから分析し、胡錦濤氏が軍部の指導権を離さないであろう、と指摘した。
一方、海外の中国情報誌「新紀元」は2011年上半期に、北京の情報筋からの証言として、胡錦濤・軍事委員会主席は前任の江沢民氏を真似して、総書記と国家主席の座から引退しても、引き続き軍の指導権を握ると伝えていた。
10年前の第16回党大会では、江沢民氏は総書記、国家主席、軍のトップである軍事委員会主席から全面的に退くと見られていたが、当時の中央政治局内部決定会議で突然、軍の高官20人が連署した「特別動議」が突き出された。江前主席が引き続き軍のトップに留まるべきとの内容だった。結局、3人の政治局委員の棄権を除き、江氏の軍事委員会主席の続投が決まったという。
中国では「銃口から政権が誕生した」という党内の定説がある。情報筋は当時の緊迫した状況を次のように証言した。「当時、会議の席では呼吸の声も響くほど静まり返った。同席する委員全員が分かっている。胡錦濤氏がこの軍の特別動議に同意しなければ、大変な結果を招く」。結局、胡錦濤氏はとても低い声で動議を支持すると表明したという。
総書記退任後も軍のトップの座に居座り続けた江沢民氏は、中央政治局常務委員の過半数を自派閥で固め、後継の胡錦濤指導部をけん制し続けた。2005年3月、江氏が軍のトップの座から完全に降りてから、党内の江沢民派の官僚が減少し始め、胡錦濤主席の権力基盤が徐々に固められたという。
海外在住の中国政治評論家・任百鳴氏は今回の胡錦濤氏の軍のトップの留任について、「いま、江沢民派閥は依然としてこの一件を全力で阻止しようとしているのだが、理論的な根拠が乏しくあまり力がないのは事実だ。胡錦濤の軍の留任は政治計画の一環であるほか、10年前の江沢民の一撃への復讐とも言える。まさに『君子が復讐するのは、10年かかっても遅くない』という俗語の言うとおりだ」とコメントした。