【大紀元日本3月13日】中国が開発しているコンピュータ・ネットワーク上での戦闘能力は、有事の際、米軍にとって脅威となりうる。連邦議会のために作成され、3月8日に発表された報告書が伝えた。
武器製造大手のノースロップ・グルムン社(Northrop Grumun)が米中経済安全保障再考委員会の依頼を受け作成した同報告書は、ここ数年、中国人民解放軍が膨大なサイバー能力の開発を急速に押し進めているということを明かした。
技術マニュアルや軍の発行物、方針書、ニュースなど、膨大な数の中国語による書類に言及する同報告書では、中国がコンピュータ・ネットワーク上の高度な操作を、軍備、諜報に統合させようとする試みについて論じている。
軍備の最新化をはかる意味では特記すべきことではないが、報告書は中国のサイバー能力が、米国に向けた広域ネットワーク上での戦闘の一部として利用されることを危惧している。
有事の際、中国軍が米国のコンピュータシステムを標的とすれば、実際の戦闘での米国軍の行動を遅延させるか弱める可能性がある。
米国では現在このようなシナリオへの対処を示す方針がない。報告書では「特に明確な証明ができない」場合の弱点を指摘する。またネットワークへの侵入は攻撃前に確認することが難しい。
ノースロップ・グルムン社は2009年、同委員会のために中国のサイバー上での諜報能力を査定しており、今回の報告書はこれに追随するものだ。
136ページにわたる報告書は、米国を標的とするサイバー戦争の経路について、警鐘となる一連の結論を導きだしている。以下にその一部を紹介する。
-中国のサイバー攻撃能力は、有事の際に米軍にリスクを投じる可能性がある
-中国企業を援助している国外企業は、中国軍のサイバーへの取り組みを援助している
-中国軍は、米軍や政府が利用する通信設備の供給チェーンに侵入し、米国の国家安全を危険にさらす可能性がある。
-中国では50以上の大学が情報安全に関する研究科があり、 五つの国家助成プログラムが、広域な政策の一環として一部資金を提供している。
-コンピュータ・ネットワーク上の戦略を、中国共産党政権は重要事項と位置付けている。軍備だけでなく、知的所有物を入手して中国経済の近代化をはかることにも適用されている。
米中経済安全保障再考委員会は米中関係の各側面に関して連邦議会に報告する研究機関である。
デニス・シア(Dennis Shea)委員長は、プレスリリースで下記のように述べている。「米国は、中国政府が認可または黙認している絶え間ないサイバー活動に苦悶している。我が国の国家および経済的な安全が危機にさらされている。中国政府はより高度なサイバー能力を獲得するための研究に投資しているため、脅威は今後も深刻化していくだろう」
さらに「膨大な電子偵察とサイバー上の侵入」について、共産党幹部は少なくとも認識している事実はより明確になってきている、と同委員長は付け加えている。
昨年12月、米紙ブルームバークは、中国発信の大手760社に対するハッカー攻撃を「サイバー冷戦」として報道している。
米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、2009年の知的所有物における、サイバー攻撃を含む窃盗による米企業の損失は、500億ドルに上ると、2011年末に米国のある高官が推算している。
米国防総省は、この件に関するコメントの要請に対して、即刻の回答は出していない。