【大紀元日本3月21日】中国共産党の指導者交代を控え、全国人民代表大会は14日、非難の的であった刑事訴訟法の修正案73条の「非通知条項」を可決した。
この修正案に反対して、香港では社会民主連線(社民連)のメンバーによるデモ行進が行われ、凶悪な同法の廃止が求められた。代表の梁国雄は、「この凶悪な法律はもっぱら政治犯の抑圧を合法化するものである。中国の公安機関はここ数年人権を擁護する人たちの鎮圧に全力を尽くしており、『行方不明』はすでに珍しいことではない。凶悪なこの法律が可決されることで、さらに大規模な『行方不明ブーム』が現れることを心配している」と指摘した。
この「行方不明」は全人代開会の最中にも起きていた。8日、王立軍の情報を把握しているとされる重慶市の代表・張明渝氏は宿泊先から、重慶の公安に連行され閉会の14日まで監禁されていた。ある弁護士は、張明渝氏の身に起こった出来事はまさに修正73条の「非通知条項」の実例であると指摘する。
修正案の主要な規定は、「国家の安全に危害を及ぼす罪」、「テロ活動罪」の嫌疑がかかった者について、公安機関は家族に状況を知らせることなく容疑者を監禁することを可能にする。つまり公安は容疑者を隔離・監禁してもその容疑者の家族に連絡する必要がない。
修正案は司法界、法律家の関心と反発を引き起こした。彼らは内容の緩和を要求してきたが、今回の全人代最終日の14日に全体会議での採決で同修正案は可決、成立した。
強制行方不明は「恐ろしいことだ」
14日、デモ行進を行った社民連のメンバーは、北京が香港における窓口である中聯弁の外で中国共産党に対して同法改正を直ちに撤回し、そしてすべての政治犯を釈放するよう要求した。そして彼らはその要求書を紙飛行機にして中聯弁内に向けて飛ばした。
代表の梁国雄氏は、この凶悪な法律は中国共産党当局が私設留置所の設置を認め、人を永遠に行方不明にさせることができることについて「これはとても恐しいことだ」と述べた。彼は同法が絡むのは全て、中国共産党とは異なる意見を持つ者や権利を擁護する人であるとともに、「国家の安全に危害を及ぼす罪」には国家機密漏洩罪が含まれているため、記者も被害者となる恐れがあると指摘した。
梁氏はさらに、修正案の可決により秘密逮捕と隔離・監禁を合法化することができ、中国共産党は何も恐れることはなくなると指摘。公安は職権を濫用し、秘密警官は至る所に出没して白色テロを起こし、もっと多くの政見が異なる人を逮捕するとの懸念を示した。
この数年間、高智晟氏、陳光誠氏と艾未未など多くの共産党とは政見が異なる人たちが、すでに中国共産党当局によって理不尽な判決を下され、軟禁されている。
中国共産党は指導者交代の時期であるが、しかし梁国雄氏は、次の中国共産党の政権にも希望は持てないと指摘している。