【大紀元日本3月28日】中国深セン証券取引所が今月中旬に発表した『2011年個人投資家状況調査報告書』によると、株式投資家のうち8割が個人投資家で、さらに損失を被った個人投資家は全体の8割以上を占めるという。
世界経済の悪化や国内経済景気の後退への懸念から、2011年の1年間において、中国の主要株価指数である上海総合株価指数は22%の下落率を記録した。これは過去3番目に大きな下落率である。
同報告書によると、2011年株式投資で損失を被った個人投資家の人数は全体の8割を上回り、82.06%に達した。一方、利益を獲得した投資家は12%で、損益なしの投資家は5.94%である。上海総合株価指数が急騰落した2010年では、約4割の個人投資家が損失を出したことから比べて、昨年損失を出した投資家人数は増大したことになる。
また、個人投資家を主とする国内株式市場の構造は依然に変化がなく、約81%の投資家の株取引口座の資金残高が50万元以下であることも明らかになった。これは、株式市場の低迷で大きな損失を出したことが原因だとされている。2011年一般個人投資家の平均株取引口座の資金残高は41.3万元となり、前年同期比で2.1%減少した。これに対して専門家は、2011年の一般個人投資家の取引口座の資産残高は増加傾向にあり、この2年間の高水準のインフレ率を考えると、資金残高の実際の減少幅は2.1%よりも大きいと指摘する。
実際、多くの個人投資家は低迷した株式市場を離れている。特に、創業板(中国の新興企業向け株式市場、中国版ナスダック市場と呼ばれる)の投資家と非創業板投資家の株取引資金が、世帯総投資金額に占める割合はそれぞれ、2010年の40.9%から2011年の35.0%に、同31.3%から同28.0%に減少した。株式市場から流出した資金は主に、銀行の資産運用金融商品や、貴金属投資、不動産市場や政府発行の債券などに流れている。銀行が販売する資産運用金融商品と、金や銀を主とする貴金属への投資は最も人気があるという。
国内証券会社招商証券のアナリストの李文氏は大紀元の取材に対し、「昨年、約8割の個人投資家が株取引で大きな損失を被ったことは事実だ。なぜなら株式市場の主要銘柄が下落し続けたからだ」と話した。
株式市場が大幅に下落した原因について、李氏は、次のように話した。「一つは2007年、中国の株式市場が異常ともいえるほど急騰したためで、もう一つ原因は、市場投資家は将来2年間、つまり2012年と2013年の中国経済の見通しについて悲観的だからだ。特に2012年に中国経済が急激に失速すると懸念されているため、一部の機関投資家は相次いで、保有する株式を売却したり、または株式の量を減らしたりしている。そのほかに、世界経済の低迷も中国株式市場に影響を与えた」と述べた。