【大紀元日本3月30日】今年1月12日に自殺した香港の医師がエイズウイルス感染者であったことが、死亡後の解剖によって判明していた。以来、約3カ月が過ぎた3月、香港の当局は、この医師が過去2年間に執刀した患者140人に3日間以内で連絡をとり、検査を行うことを決定。専門家グループは、この検査結果によっては、検査範囲をさらに拡大する方針だという。また同グループは今回の件に関連して、1994年以来、香港には19人のエイズに感染した医療関係者がいることを明らかにした。RFIフランス国営放送が伝えた。
同グループ「エイズと医療関係専家小組」のデータによると、1994年以来、香港衛生署は、医療関係者を対象として行った診察の後、エイズウイルスに感染していると診断された報告を合計19件受け取っている。その中には医師、看護師、歯科医師、歯科衛生士などが含まれているという。しかし、これら19人の感染者の危険性は低いとされ、この19人と接触のあった患者に対する追跡調査は行われていない。今回の患者140人に対する追跡調査は、香港で初めてのこととなる。この19人の中に、1月に自殺した医師は含まれていない。
衛生署が委任した同グループの主席である林大慶氏は3月26日、当該の医師が執刀した手術のリスク評価をした後、国際手引きに基づいて、胆のうや胃、膀胱の切除、或いは整形外科の手術を行い、さらにその手術時間が3時間を超えるもの、または救急室(ER)での混乱した状況下で行われた手術のほとんどは、「高リスク手術」に数えられると説明した。今回、当局が連絡をとった患者は、全て当該の医師により上記の高リスク手術を受けている人々である。
香港の当局は、「医療関係者がエイズウイルスを患者に感染させるリスクは高くない」と述べ、文献からの引用として、エイズウイルスを保有する医療関係者が注射針などで自分の指先を傷つけた後、その注射針を通じて患者にエイズウイルスを感染させるリスクは千分の4であり、リスクが低いことを強調した。
香港の病院管理局は、すでに医療関係者のプライバシー保護と、その医療関係者が接した患者の(安全の)保障について、双方とも配慮のバランスはとれているとの見方により、現行通り、医療関係者自らの意志によるエイズ申告制度の継続を、重ねて言明した。その背景には、もし申告を強制すれば医療関係者はかえって血液検査を拒否するのでは、という当局の懸念があると見られる。