【大紀元日本4月4日】カナダで上場している、資産粉飾疑惑の中国企業、嘉漢林業(シノ・フォレスト)は3月30日、同国での破産保護申請が認められた。この承認を受けた同社は現在、資産の売却を進めているが、買い手がつかない場合は、資産が債権者に引き渡されることになる。嘉漢林業はかつて、トロント証券取引所上場企業において最大の林業会社であった。ロイター通信が伝えた。
嘉漢林業は昨年6月にカナダの株式市場に上場したが、翌7月には、香港の調査会社、マディー・ウォーターズ・リサーチ社が、同社の資産は過大報告されていると粉飾疑惑を指摘。それ以降、8月に取引が停止されるまで、時価60億ドルと公表していた嘉漢林業の株価が70%も急落した。
マディー・ウォーターズの指摘を受け、カナダのオンタリオ証券委員会が調査を行った。その結果、創業者で元総裁の陳徳源氏を含む会社経営幹部に詐欺容疑がかけられた。陳氏はその後すぐに理事長兼CEOを辞任したが、カナダ連邦警察もこの案件の調査を始めた。
だが、一連の調査は嘉漢林業の中国における業務実態を明らかにすることができなかった。同社の従業員や前従業員が業務提携先との間に不自然な関係が存在する証拠は発見したものの、マディー・ウォーターズが指摘した詐欺の証拠は発見できなかった。
一方、カナダ紙のグローブ・アンド・メールが独自に調査したところ、同社の経営幹部と業務提携先との間に不正な関係があり、しかも同社の持ち株に関する発表には明らかな矛盾があることを発見した。嘉漢林業はこれらの疑いについても否定している。
マディー・ウォーターズの創始者、カーソン・ブロック氏は調査結果について、嘉漢林業のビジネスに対する見方は変わっていないと述べている。
「これ(破産保護申請)は我々が言い続けてきた、嘉漢林業の経営に巨大な詐欺行為があり、しかもすでに株主と債権者をだましていたことを証明するものだ。もし同社が本当に20億ドル近くものキャッシュフローがあるのなら、法廷での再建を模索することもなかっただろう」
一方、嘉漢林業のジャドソン・マーティンCEOは声明の中で、同社が破産保護の申請をしたのは、その適用によって営業活動が続けられるからだと述べるとともに、マディー・ウォーターズ社などを相手に、損害賠償を請求する訴訟を起こす方針を示した。
今回の案件は、「中国企業に対して欧米式の情報公開を行った」ことが原因のひとつだと専門家は指摘している。これを機に、オンタリオ証券委員会はカナダで上場している外国企業に対して大規模な審査を行った。今年2月、委員会は外国企業の上場規定をさらに強化し始めた。