銀行業は暴利業界に、5大銀行1日の収益は18億元

2012/04/10 更新: 2012/04/10

【大紀元日本4月10日】中国の工商銀行、農業銀行、建設銀行、交通銀行および中国銀行の5大銀行は3月末に相次いで、2011年度事業報告書を発表した。統計によると、5大銀行を合わせて2011年の純収益は前年同期比で25%増の6808億100万元で、1日当たりの純収益は18億6500万元となった。銀行の「荒稼ぎ」に関して、今中国で大きな反響を及んでおり、中国国民の銀行への不信感が一層強まっている。

5大銀行のうち、2011年最も収益が多かったのは工商銀行で、2084億4500万元だ。建設銀行は前年同期比で25.52%増の1694億3900万元で2位になった。農業銀行は同28.5%増の1219億2700万元。中国銀行は同18.93%増の1303億1900万元。交通銀行は507億元3500万元。

中国民生銀行の洪崎・社長は昨年12月に北京で開催された「2011年グローバル企業家フォーラム」において、「現在、(中国の)企業の収益が低いのに対して、銀行業の収益が非常に高くなっている。そのため、収益がこれほど高くなっていることを恥ずかしく感じ、公表しづらいと感じている」と発言した。

銀行業の収益が大幅に増加した背景として、まず銀行の様々な手数料収入があげられる。中国銀行業協会が3月15日発表した調査レポートによると、昨年銀行業に関して消費者から最も多かったクレームや相談は、銀行のサービスおよび手数料の問題だったという。

中国の銀行にはさまざまな名目の手数料がある。例えば、少額口座管理費、クレジットカートのキャッシング手数料、振替失敗手数料、通帳更新手数料、キャッシュカード再発行手数料、パスワード再設定手数料、ネットバンク取引手数料など。しかも、中国の多くの銀行は利用者にこのような手数料があることについて、事前の説明はなく、銀行ホームページにも公表されないので、銀行利用者は知らないうちに手数料を払ってしまうことが多い。

5大銀行の年度報告書をみると、昨年5大銀行の手数料およびコミッション関連純収益は3515億500万元に達していた。手数料およびコミッション関連純収益が前年同期と比べて、最も大きな増加幅となったのは農業銀行の同49%増の687億5000万元。2位は工商銀行で、同39.4%増の1015億5000万元。

また中国の銀行業監督管理委員会(銀監会)の調査によると、2011年中国銀行業の非利息収益が収益全体の14.9%を占めているという。この比率は2008年、2009年、2010年において、それぞれ9.7%、11.8%と12.5%となっている。非利息収益が年々増加していることを表した。

このほど、中国政府当局が金融政策を引締め方針に転じ、金利が大幅に引き上げられたことで、預金金利貸出金利の間に大幅な利差が生じたことが、銀行に莫大な利益をもたらしたもう一つの原因だ。銀監会が公表したデータによると、2011年中国の商業銀行の利差は約2.7%で、利差収入は収入全体の80.7%を占める。

年度報告書によると、5大銀行は昨年獲得した純利差収益は1兆3051億2900万元に達した。工商銀行は前年同期比で19.4%増の3627億6400万元。建設銀行は同21%増の3045億元。農業銀行は同26.9%増の3072億元。中国銀行は同17.58%増の2280億6400万元。交通銀行は同20.71%増の1026億100万元。

一方、中国民生銀行などの株式制の銀行の純利差収益は同90%を上回っているという。3月30日付「毎日経済新聞」紙によると、中国16の株式上場銀行の昨年1~9月までの純利差収益は前年同期と比べて、平均31%増加した。

莫大な利益を儲かっている銀行業は今中国で、国民から、中国の不動産業に並べて暴利業界のうちの一つと認識されている。しかし、国有銀行である5大銀行をはじめとする中国の銀行がこのように莫大な利益を得られるのは、特有の中国の金融システムに原因があるとみられている。金融資源への絶対的な支配権を持ち、金融市場を厳しく管理する中国政府が、銀行業に対する特別な優遇政策あるいは保護政策のため、銀行の高収益が保証されているのではないかと思われる。

 (記者・高紫檀/翻訳編集・張哲)
関連特集: