【大紀元日本4月26日】4月中旬頃に党中央のすべての職務が停止された重慶市元トップの薄熙来氏。江沢民派の重鎮である周永康氏(中共中央政法委のトップ)と政変を計画していたことが相次ぎ報じられる中、両氏とその一族の莫大な資産も注目されている。薄氏夫婦が海外に移した資産は60億ドルに達するとも報じられ、ワシントン・ポスト紙は中共の高官とその家族が権力を使って巨額の富を築くという中国特有の裏事情を追跡した。
同紙は香港でのある訴訟案を取り上げて、強い勢力網を持ちながら、隠ぺいされている中共高官の影響力を明らかにした。
中国政府が2006年、外貨管理の条例に違反した疑いで、北京の不動産会社「恒兆置業有限公司(以下・恒兆置業)」を調査しはじめた。この会社は当時、2つの謎の企業に支援を求めた。一社は中国元副総理の田紀雲氏の息子田承剛氏の個人会社。明らかに外貨管理の専門知識を持っていない投資会社である。もう一社は香港の「海峡両岸和平統一基金会」、中国前国家副主席の曾慶紅氏の兄曾慶淮氏と緊密な関係を持っている。曾慶紅氏は江沢民・前国家主席の側近でもある。同会社は香港で企業登録もしていない。
同紙が入手した2007年の恒兆置業の極秘備忘録によると、同2社は調査を行う「国家外貨管理局」の高層部と緊密な仲にあり、しかも強い影響力を持ち、両者の間でパイプ役を果たした。
この2社は具体的に何を行ったのかは明らかにされていないが、結局、恒兆置業は少額の罰金を科せられたのみで、それ以上の追従はされていない。
その後、田承剛氏は、国家外貨管理局は巨額な罰金を処する予定だったが、自分の介入により、罰金額は30%から0.6%に軽減されたと主張し、550万ドルの報酬を恒兆置業に要求した。恒兆置業は高額すぎるとして支払を拒否したため、双方は香港で法的訴訟を起こした。先月、その判決が出されて、田氏の投資会社が敗訴した。田氏はいま上告している。
複雑な権力ネットワーク
この事案のキーマンである田承剛氏と曾慶淮氏は中国では太子党に属している。太子党は党派ではなく、中共高官の子弟など特権的地位にいる者たちのことである。彼らは軍の要職に就いたり、国有の銀行と企業の高層部に入ったり、一部は民間企業特に金融業とコンサルティング企業に身を置いたりしている。同紙は「彼らは異なる政治領域を占有し、一族でその影響力を発揮している」と評した。
ワシントン・ポスト紙は香港裁判所に提示された上記二社の住所に訪れたが、その実体存在を確認できなかったという。現場にいた唯一の男性、その名刺の肩書きは総裁秘書だが、総裁の名前を明かすのを拒否した。またこの男性は曾慶淮氏をボスと称して、その具体的役割と会社の業務内容を説明しなかった。「内部の事情は非常に複雑である」との理由だ。
同紙は、「香港でのこの案件を通して、強い勢力網を持ちながら、隠ぺいされている中共高官の影響力を垣間見えた。彼らの子弟や親族、例えば太子党の場合は、党中央の人脈ネットワークを制御している。この国においてこの人脈関係は非常に価値のある商品であり、党の権力は法律の力よりも大きい」と報じた。
また、「中国の経済は当局の政策に強く依存している。その結果、幹部とこの家族は権力を駆使して財産を急速に拡大させており、太子党たちはこの特権を無限大の富に変えられる。その力はすでに海外までに拡張、彼らは党と家族の秘密的な保護を受けている」と同紙は綴った。
今回、権力闘争で失脚した薄氏、その妻の谷開来氏は解放軍の元参謀長の娘。彼女はいま英国人ヘイウッド氏の死亡に関与した容疑で逮捕されているが、弁護士である谷氏はかつてコンサルティング会社を経営し、外国企業の中国投資にサービスを提供していた。その姉と薄氏の兄弟も、中国と海外で巨額な投資行っている。