【大紀元日本7月17日】北京市内で11日午後3時過ぎ、米国人男性(62)が切りつけられて死亡した事件が発生した。容疑者は東北農村から来た前科のある精神病患者(35)だと当局が発表した。5月にも、外国人を狙う通り魔事件が発生、犯人は直訴者で、「自身の訴求に目を向けてもらう」ため、犯行に及んだという。今回の事件も同様な動機によるものだとの見方が出ている。VOAが伝えた。
公安当局は事件当日、公式ミニブログで、被害者は3日に入国したハワード・トマス・ミルズさんであると発表した。また、容疑者について、黒竜江省出身の農民で、昨年1月に2度、凶器を持って強盗事件を起こしたが、精神異常と診断され釈放されたと明かした。2人は面識がないという。
実は、2カ月前、現場から少し離れた場所で同じく米国出身の男性が刺され、負傷した事件が発生した。その時逮捕された容疑者は山東省からの直訴者で、事件を起こせば政府が目を向けてくれるだろう、と供述したという。
今回の事件も絶望感に駆り立てられた直訴者による犯行との見方が出ている。
香港に拠点を持つ「中国人民人権擁護連盟」主席の劉衛平氏は「同じ思いを抱く直訴者は少なくない」と述べ、「外国人を標的にして事件化すれば、注目され、問題解決につながると考えているのではないか」と分析している。
また、当局は容疑者が精神異常者であると発表したことについて、人権活動家の劉飛躍氏は、「直訴者の北京入りを阻止するために、各地当局は彼らを精神病院に拘束することがよくある」と話した。
様々な社会問題を抱える中国では、直訴者は各地から北京の陳情取扱機関を訪れ、問題解決を図っているが、そのほとんどは門前払いにされている。地元に送還されては上京し、全財産をなげうって、数10年間も陳情を繰り返す人も少なくない。
今回の容疑者が直訴者であるか否かについて、北京当局は調査中だという。