中国のインターネットカフェ(Kai Hendry/Flickr)
【大紀元日本8月6日】中国共産党の機関紙・人民日報(海外版)は7月31日、「中国が直面する脅威はどこからか」という題名の文章を掲載した。米国が「人権弁護士・地下宗教(非公認宗教)・異見人士・ネットリーダー・弱者層」という5種類の人間を利用して、ネット自由を口実に、中国を変えようとしていると力説した。
中国現代国際関係研究院米国研究所の袁鵬所長によるこの論点は、かつて文化大革命で「地主・富農・反革命者・破壊者・右派」を「黒五類」と定義し、敵対階層として差別していたことを彷彿とさせ、事実上の「新・黒五類」の定義であるとみられている。
文書の冒頭では、「中国の真の難題は国際と周辺地区の情勢ではなく、内部の体制変革と社会の現状である。真の脅威は軍事的衝突ではなく、金融、社会、インターネット、外交などの非軍事的分野の災いである」と記した。そして、米国はまさに、これらを利用して中国のさらなる発展を阻止しようとしていると主張した。
最後に、「中国政府は国家安全対策の重点を外部の軍事衝突の防御から、内部体制の全面的な改造に転換すべき」との結論を出した。
ここの「内部体制の全面的な改造」は「新・黒五類」の主張でもある。ただ、彼らが主張している改造は、公民の権利を守るためのもので、袁鵬所長が主張するのは、統治階層の利益を守るためのものだ、と中国問題専門家は分析する。ここでほのめかしているのは、今後、5種類の国民へのコントロールと弾圧がいっそう強化されると、ドイツ国営放送ドイチェ・ヴェレは専門家の見方を伝えた。
一方、共産党政権の国家安全対策の重点はすでに、外部の軍事脅威から内部体制の「全面的な改造」に切り替えられている。社会安定維持の国家予算が軍事予算を超えていることはそれを物語っている。「この状況はどこまで維持できるのか。中共政権の統治者らはやきもきしている」と専門家は指摘した。
共産党政権は統治を維持するため、2つの手段を使いこなしている。一つは、国際社会での敵を作り上げる。国民の民族主義の感情を煽ぎ立て、一つまたは複数の「陰険かつ残酷な」外国の敵を立てて、最大限に国民に怨恨意識を注ぎ込む。もう一つは、国民内部で分裂を促し、政権に不利と判断した特定のグループを差別させ、国民同士の戦いを誘発する。袁鵬所長のこの文章はまさに中共政権のこの種のやり方を実証したと、ドイチェ・ヴェレは分析した。