ドーピングは国策だった 退職医師が暴露

2012/08/07 更新: 2012/08/07

【大紀元日本8月7日】ロンドン五輪開幕後、かつて中国体操チームの首席医師を務めたことのある医師が、80年代90年代に選手に対し、使用禁止薬物を与えることは中国政府の政策であったと暴露した。豪シドニー・モーニング・ヘラルド紙が伝えた。

この薛茵賢(音)という元主席医師はすでに退職している。彼女が明かした内容によれば、80年代、中国の運動選手がステロイド成長ホルモンを使用する現象が普遍的にみられ、選手たちはこの方法を受け入れなければならなかった。彼らは自分たちが何を注射されているのか分からず、当局に協力することを拒絶した医療関係者は排斥された。

薛医師は、中国体制内での就業経験者として初めて中国政府側と異なる話を公表した人物である。90年代、中国人選手の薬物使用に関する一連の醜聞が伝えられた後、中国政府はその責任を選手あるいはコーチが個人の利益のために行った「個人的行為」であるとしていた。

中国紙・世界経済導報の元記者・張緯国氏(米国在住)はラジオ自由アジア(RFA)の取材に対し、「選手の薬物使用は中国だけで起きているわけではないが、「科学的訓練」と称して政府の政策として存在するのは中国独特である」「これは組織的行為であり、政府の行為である。強烈な政治目的の下で実施されたものなので、欧米とは異なる」と指摘した。

スウェーデン在住の中国問題専門家・黎原野氏は、「中国政府は薬物が検出されたスポーツ選手の事情を、選手あるいはコーチの個人行為としてしまうことは、中国の社会と政治体制では道理が通らない話だ」と分析し、「彼らの食品はみな国が規定し、特別に供給されたもの。(ドーピングを)選手個人の行為とするのは現実的ではない」「少なくとも政府は黙認している」と話した。

中国政府は2012年ロンドンオリンピックに参加する400人ほどの中国選手とコーチに対し、国旗のもとで薬物不使用を宣誓することを要求したと政府系メディアは報じている。これについて黎氏は、「欧米では制度や法律で制約されているものが、中国では自覚や宣誓に頼っている。まったく信頼できない」と指摘した。

「中国の政治体制は薬物問題の温床となっている」と黎氏は述べ、張偉国氏も、「中国の国を挙げての五輪体制が変わらなければ、国家政治のイメージ作りに利用され、ドーピングは無くならないだろう」と述べている。

(翻訳編集・坂本)
関連特集: