【大紀元日本8月14日】英フィナンシャル・タイムズは「中国の3兆ドルを上回る外貨準備高は新たな投資ブームで5年以内に使い果たされる可能性がある」と警告。(Mark RALSTON/AFP)
7月、中国貴州省や湖南省長沙市などの地方政府が相次いで巨額な地方版景気刺激計画を打ち出したことに対して、8月5日付英フィナンシャル・タイムズ紙は、新たな投資ブームの影響で現在3兆ドルを上回る規模の中国の外貨準備高は将来5年以内に使い果たされる恐れがあると指摘した。
同記事は「中国収支バランスが急速に悪化すれば、機能に異常をきたした金融システムが日増しに深刻化する圧力に直面する。また2007年以降、中国の投資は毎年国内総生産(GDP)の成長率を6%上回るペースで拡大している。今後、中国が引き続き投資を推進していくこと以外に、経済成長を促す手段がなければ、1年以内に、投資規模が現在の外貨準備高を上回り、5年以内にすべての外貨準備高が使い果たされる」と指摘した。
また、資本流出も外貨準備高にとって深刻なリスクであると同記事は指摘した。中国国家外貨管理局が7月31日、第2四半期(4~6月期)の国際資本・金融収支が714億ドルの赤字で、今年の上半期の国際資本・金融収支が203億ドルの赤字になったと発表した。米大手格付け会社のフィッチ・レーティングスは、中国の国際金融収支が1998年以来の赤字に転じたことは資金流出を示唆していると警告した。
一方、8月1日付中国「財経網」によると、中国社会科学院経済および政治研究所の国際金融研究室の張明・副主任は、現在、毎月平均約203億ドルの資金が中国から海外に流出しているとの見解を示した。張副主任の試算では、2011年第4四半期から2012年第2四半期まで、累計1828億米ドルの資金が流出した。世界金融危機発生直後の2008年第4四半期から2009年第1四半期まで、月平均で141億ドルが流出した当時の状況と比べて、現在の資本流出はより深刻だという。
中国経済成長失速の鮮明化に伴い、対ドルでの元安圧力が強まり、人民銀行のデータによると、今年上半期に対ドルで人民元が約0.18%下落した。第2四半期では、元は対ドルで0.88%下落し、1994年以来最大の下落率を記録した。投資家の間では中国政府は国内景気刺激を目的に、下半期に追加利下げの実施および紙幣増刷に関する観測が出ているため、元安圧力がさらに強まり、今後資本流出が一層加速するとみられる。
在米中国問題専門家の伍凡氏は「中国経済および政治制度への悲観から、ホットマネーや海外資本だけではなく、中国民間資本も裕福層の海外移住、または汚職官僚の海外逃亡によりどんどん流出している」と指摘した。国内経済研究機関の胡潤研究所が発表した『胡潤財富報告2012年版』によると、中国国内では1000万元(約1億2800万円)以上の資産を持つ裕福層人口が100万人に達し、その内の16%の富豪がすでに海外に移民した。また44%の富豪は近いうちに移民する計画があり、85%以上の富豪は子供を海外に留学させようとしており、約34%は海外で資産を持っているという。