【大紀元日本8月22日】茶番劇のようにスピード判決が下された重慶市元トップ薄煕来氏の妻・谷開来被告による英国人毒殺事件。裁判では薄氏の名前すら言及されなかったが、国内外の注目の焦点は薄氏への処遇に移っている。「政治の面において、これはいっそう敏感な問題だ」と専門家らは指摘する。
20日、谷開来被告が言い渡されたのは執行猶予付き死刑。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は北京大学法学院の賀衛正・教授の見方として、「この判決結果は法廷審理前にすでに談合で決めていたはず。しかし、薄氏の問題への対応は依然として意見が分かれているのであろう」と伝えた。
中国問題専門家の間では、指導部は秋の共産党大会までに決着をつけたいが、意見がまだ一致してないとの見方が一般的である。その理由は、指導部内部に薄氏支持の勢力が残存しているからだという。
また、薄氏への対応が難しくなっているもう一つの理由も指摘されている。彼の巨額な汚職問題にいったんメスを入れると、指導部高官たちの不正蓄財問題への関心が高まる恐れがあるからだ。
英BBC(中国語版)は21日、「中共当局は、谷開来故意殺人案件を、経済汚職犯罪や薄煕来氏と無関係の単純殺人事件にすり替えた」と指摘し、「当局の狙いは、薄氏が犯した各種犯罪による中共政権への強いダメージを軽減させるため」と分析した。
検察側が描いた谷の殺人動機となる「息子を守るため」というシナリオについて、「まったく信憑性がない」と記事は一蹴し、「谷被告は自分たちの大規模な犯罪を隠すために証人となるヘイウッド氏を殺したとの説が有力だ」と指摘した。「薄氏の犯罪は共産党政権の名誉に壊滅的なダメージをもたらすため、絶対に公にすることはできない。そこで、谷開来の殺人動機をすり替えることで、指導部も薄・谷も、難から逃れようとしている」
大紀元(中国語版)が入手した情報もBBCのこの記事の見方を裏付けた。この情報では、ヘイウッド氏は薄・谷による囚人の臓器と遺体の大規模密売を知っていたため、口封じのために殺されたと明かされている。
ロイター通信は、谷被告の殺人事件への対応の幕引きは、薄氏への処理の幕開けともなると指摘。「これは中共指導部にとって、政治上もっと危険なことである」。また、薄一族に近い情報筋の話として、指導部は薄氏への処遇を最終決定していないとし、「薄煕来氏は刑事裁判にかけられるであろう。それにより政治生命に終止符が打たれる」と伝えた。