【大紀元日本9月3日】中共指導部は公安、司法、諜報等を主管する中央政法委の弱体化を図ろうとしている。この動きについて、超法的権限を有し、「第二の権力体制」との異名を持つ政法委の「政権への脅威を指導部が認識したのだろう」と中国問題専門家は指摘した。
ロイター通信は8月末、複数のルートからの情報として、今秋に開催される第18回党大会で、共産党の最高指導部である中央政治局常務委員会から政法委のトップが外されると報じた。
同報道は指導部から引退した高官の話として、「政法委トップは中央政治局常務委員会に入らず、ほかの常務委員の管轄下に置かれる。それにより、政法委は好き勝手に振舞うことができなくなる」と伝えた。
政法委は公安、司法、検察、情報部門などを一手に掌握し、「安定最優先」の方針のもと、法を無視し、職権を乱用し、あらゆる「危険分子」を抑えつけて国民からの不満が根強い。
2012年の予算で政法委が主管し、国内の治安維持などに充てる「公共安全費」の7017億6300万元(約9兆1230億円)が、「国防費」の6702億7400万元(約8兆7140億円)を上回っている。莫大な権力を握る政法委は「第二の権力体制」とも言われている。
また、政法委のトップである周永健氏は今年4月に失脚した重慶市元トッブの薄煕来氏と盟友関係にあり、薄氏の政変計画に関与していたとの内部情報がある。
こうした状況から、最高指導部は膨張しすぎた政法委の権力を制限する動きに出た。
同済大学政治学部の謝越・教授はロイター通信に対して、「この可能性は非常に高い」「胡・習両氏は民意を利用している。政法委の権限が大きすぎて、しかも多くの社会問題を作り出した」「政法委の権限を制限することは、国民コントロール政策の緩和を意味するのではなく、他の政府機関による警察・公安への制御を強化するであろう」との見解を示した。
また、ロイター通信は、「党内では政法委への批判が強まっている。周永康氏はまだ職に留まっているが、以前ほど影響力がない」「多数の人は7人の常務委員体制を支持しているが、その人選について、まだ最終の合意に至っていない」という政府筋の情報を伝えた。その後継者は現職の公安部トップ孟建柱氏との説もある。
2002年、指導部が世代交替した共産党第16回党大会の前、胡錦濤氏は常務委員7人という従来の体制を支持したが、江沢民派の反発により、9人に増員され、中央政法委のトップがはじめて委員に加わった。
米国在住の中国問題専門家・石蔵山氏は、「今回常務委員会から外れた2つのポストはいずれも江沢民派に支配されている」と述べ、「この政権の災いが取り除かれれば、中共体制が大きく変わるかもしれない」と指摘した。