【大紀元日本9月22日】中国国務院発展研究センター研究員で国内著名エコノミストの呉敬璉氏はこのほど、経済成長を保つため中国地方政府が相次いで大規模な投資計画を発表したことについて苦言を呈し、「持続不可能だ」と警告した。
16日に北京で開催された「国際金融フォーラム2012学術報告会」において、呉氏は「完全でないが、入手した統計だけからみると、現在経済成長を保つために公表されている各地方政府の投資総規模はすでに17兆元(約209兆)に達している。これは持続不可能で、露呈されている問題も多くある」と指摘した。
呉氏は「最近一部の地方政府を訪ねたことがある。各地方政府がいかに高成長を実現していくかと焦りを見せている。高成長を実現できなければ、財政問題や社会福祉問題などが解決できなくなるからだというのだ。しかし、各地方政府が考え出した方法は投資である。大規模な資金投入。昨年の主な方法は数千億元から2、3兆元までの投資規模で中央政府直轄の国営大手企業を誘致することだったが、実際実現されたのは少なかった。今年のやり方は多くの省が同じもので、各自大胆な投資計画を立てた。先週、各地から入手した情報での投資規模は約7兆元(約86兆円)だったが、週末には12兆元(約144兆円)に増えた。現在はその規模がさらに膨らみ17兆元に達した。しかし最大の問題はこれらの資金をどこから調達するのかということだ」と話した。
また、呉氏は少しでも経済学の知識あるいは歴史の知識がある人なら、このような大規模な投資は持続不可能であることに気づくと指摘した。「例えばある省の域内総生産(GDP)成長率は近年、毎年14%か15%の水準で推移している。去年同地域の投資規模はそのGDPの89%を占めていた。しかし今年上半期になると、その割合が120%と急速に拡大した。このようなモデルが持続できるか否かは明白であろう」と述べた。
さらに、呉氏は中国政府の高速鉄道整備事業への強化計画について言及し、「一部の人口や経済活動が比較的密集する地域では必要だ」と強調した。一方「現在経済活動と政治活動を共に行う、いわゆる政企合一の最大手国営企業が高速鉄道建設を行っているため、つまり国家の力量を使って建設することになるので、多くの問題が現れた。中国の鉄道において今最も必要とされているのは旅客輸送ではなく、貨物輸送だ。高速鉄道は旅客輸送になるため、国家の主要資源を使って高速鉄道を建設するのは誤った資源分配で、結果的に負債が膨らむ一方だ」と指摘した。
呉氏と同様な認識を持つ在米中国経済専門家の何清漣氏は7月に自身のブログにおいて、2009年に経済成長を保つために中国政府当局が大規模な投資を行った結果、過剰流動性によるインフレ圧力の高まりや不動産バブルや貧富格差の拡大と経済構造の畸形化など極めて深刻な問題を招いたため、再びこのように大規模な投資方法で景気を刺激するなら、中国経済により一層大きな危機をもたらすとの見方を示した。
多くのエコノミストが、中国政府が再び大規模な景気刺激策を行えば、長期的に新たな経済危機が必ず生じると警告してきたにもかかわらず、中国政府は依然として実行しようとしている。これに対し、一部の専門家は中国共産党政権の専制的体制そのものが、中国の経済体制改革が実現できない主因だと指摘する。国家経済発展に最も重要な企業や資源などはすべて高層指導部の権力者に握られているため、政治体制の改革がなければ、根本的な経済構造の調整や経済体制の改革はできない。したがって、中国経済の主要なけん引力が、投資しかないことがすでに定められている。