温家宝首相、不正蓄財疑惑への調査を要請か 「利益集団はさせるはずがない」と専門家

2012/11/03 更新: 2012/11/03

【大紀元日本11月3日】ニューヨーク・タイムズ紙が報じた温家宝首相一族の27億ドル不正蓄財の件について、首相は政府に調査要請し、「率先して自ら個人財産を公表する」姿勢を示した。香港・明鏡網は指導部に近い北京の情報筋の話として伝えた。

 同報道によると、温首相は指導部に書簡を送り、「不正のうわさについて、全面的かつ公開調査を行う」よう、調査チームの結成を堅く要求した。また、「国内外のメディアの参加も歓迎する」「自身と親族は無条件に公開調査に協力する」「違法行為が判明した場合、厳しい法的裁きを受ける」などと書簡で明示したという。

同情報筋の話では、首相による資産調査の要請はこれで5回目であり、これまでも中央政治局の会議で繰り返されたという。

海外のメディアに対し、政敵に不利な情報を流すやり方はこれまでも指導部の内部闘争で使われてきた。中国問題専門家の間では、今回の不正蓄財の情報は、薄煕来氏をバックアップする中央政法委トップの周永康氏など、江沢民一派が流したとの見方は根強い。温首相はこれまで、薄氏とその黒幕の周氏らへの厳正な法的裁きを堅持していたとされている。

一方、温首相の財産公開要請は指導部が承諾しないと専門家は見ている。立憲政治を主張する中国の学者・陳永苗氏は「体制内の厖大な利益集団は自らを守るため、首相の個人財産の公表をさせるはずがない。そして、いかなる実質的な政治改革もさせないであろう」と、米国の海外向け放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材で指摘した。また「温首相や、習近平氏など一部の良識のある指導部メンバーは政治改革の必要性を認識し、推進しようとしているが、利益集団は絶対に容認しない」との見解を示した。

(翻訳編集・叶子)

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