【大紀元日本11月6日】今年のノーベル文学賞を受賞した中国の著名作家・莫言氏は「体制内作家」として、「ノーベル賞にふさわしくない」と一部で批判されていることについて、かつて同氏を取材したフランス人ジャーナリストは、莫言氏は2004年に「中国共産党を信用していない」と語っていたことを明らかにした。
莫氏の作品は主に中国の農村部の現実を描いている。幹部の汚職や社会問題などを暴露する内容がたびたび登場するが、政治体制への直接的な批判は避けられている。元軍人で共産党員でもある同氏は、表現の自由を制限する当局機関「中国作家協会」の副会長をも務めている。2009年、ドイツのフランクフルトで開かれた書展で、反体制派の中国人作家が招待されたことに抗議して、同氏は出展を取りやめた経緯もあった。
そのため、一部の中国人権・民主活動家からは「体制内作家」だと批判されている。
だが、2004年に同氏へのインタービューを行ったというフランス有力紙「La Libération」の元北京駐在記者ハスキー氏によれば、莫氏はそのとき、1989年に起きた民主化弾圧事件・天安門事件以降、自分はもう中国共産党を信用していないと語っていた。それでも共産党員を辞めない理由について、「余計な面倒を避けるため」と話した。その音声は全部録音されているという。
天安門事件直後から執筆を始めた同氏の代表作の一つ『酒国』は、共産党幹部が乳児の丸焼きを食べるという物語。「作品の真意は明らかだ」とハスキー氏は指摘し、当局の残酷な弾圧への莫氏の精一杯の反抗ではないかとみられる。
(翻訳編集・叶子)