【大紀元日本11月12日】中国河南省の地元当局は、年々減少する農地に歯止めをかけようと、墓石を一掃するとの策を打ち出した。同省周口地区ではすでに200万区画のお墓が撤去され、計3万ムー(約2千ヘクタール)の墓地は耕地になったという。しかも幹部の墓は「対象外」になり、市民から反発が高まっている。
共産党機関紙「人民日報」は4日、ミニブログ・微博で「困難より方法のほうが多い。なかなかの発想だ」と対策を支持する書き込みを掲載した。同省のトップである盧展工共産党委書記も「良いヒントを得られた」と後押しした。
しかし、先祖を大切にする農村部では、墓を掘り返すことに強い抵抗がある。インターネットでは、「徳を損なうことだ。中国の伝統風習が破壊される」など批判が巻き起こった。
墓地の強制収用は同省全域で行われる見通しだ。
一方、現地のマスコミ関係者によると「国が保存すべきと定めた、『有名人』らの墓は撤去の対象から除外されている」との但し書きがあるいう。しかし「有名人」に関する具体的な規定がないため、担当部署は「気を利かせて」ある程度の肩書きを持つ幹部らを全部「有名人」扱いにしている。
周口市は3カ月で3年分のノルマを達成し、約束されていた遺骨の集団墓地への移転などを行わずに、ほとんどの墓地は強制的に更地にされている。撤去に応じない住民は年金が減額され、一般幹部の場合は処罰されるなどの罰則も設けられている。
インターネットでは「まさに略奪そのものだ」との怒りの声が高まり、「盧書記の先祖のお墓をネットの力で特定し、率先して撤去してもらいたい」との呼びかけもあった。
中国誌・財経の楊海鵬記者は自身のミニブログで「農地の確保は口実に過ぎない。確保した2千ヘクタールの農地はのちに不動産建設用地として使われる。開発業者に売れば、300億元の収入が現地政府の懐に入る」と政府の真意を解説した。