借用地で遺伝子組み換え大豆を栽培する中国の手法に反発。写真はアルゼンチン北部の耕地。記事内容と直接関係ない(Sam Beebe, Ecotrust/Flickr、)
【大紀元日本11月14日】南米アルゼンチンで土地を借り受け、バイオ燃料の原料となる大豆を栽培する。中国企業のこの投資計画がアルゼンチンで論争を巻き起こしている。環境汚染などの理由で現地住民に不満が高まっている。ドイツ国際放送ドイチェ・ヴェレが報じた。
2年前、リオネグロ州のミゲル・サイズ長官がアジアを歴訪した後、中国からの投資計画に関する情報が流れた。32万ヘクタールの土地を50年間レンタルする上、近くのサンアントニオ港から大豆を中国に輸出するため、それ用の埠頭を建設するというのだ。企業はこの情報に躍起になったが、現地住民は怒りを募らせた。
同計画に抗議する同国の「食糧主権」という団体は長年、食糧を原料とするバイオ燃料の製造に反対してきた。理由は、環境汚染と食糧の価格高騰を招いたからだという。
同団体の幹部ファービア・ヴェガさんは、中国からのこの投資計画を公開した長官の手法を批判した。「長官は初めから明確に情報を公開するのではなく、断続的に流した」。ヴェガさんによると、長官は最初、中国国有企業による現地での大豆栽培は飢餓問題を解決するためだと話した。「この崇高な目的を掲げ出したのは、我々の理解を得るため。飢餓の撲滅に反対する人はいないからだ」とヴェガさん。しかしその後、長官はこの大豆は豚の飼料であると話し、そして最後には、バイオ燃料の原料であることをついに認めたという。
いま、アルゼンチン全国では2200万ヘクタールの農地で遺伝子組み換え大豆が栽培されている。使われる殺虫剤と肥料は地下水と土壌を汚染している。さらに、農薬は農業用ヘリコプターで広範囲に撒き散らしており、「現地住民のことはほとんど配慮されていない」という。「食糧主権」は、リオネグロ州もこのような状況に陥ると憂慮している。
同中国資本投資計画に反対する野党議員は最高裁判所に計画の差し止めを要求し認められた。裁判官は2011年11月、同計画は環境への影響を十分に検証できていないとの判断を下した。その2カ月前には、ミゲル・サイズ長官は選挙で敗れ退陣した。だが、「この計画は完全に没になったとは信じていない」。ヴェガさんはこの状況を楽観視していない。「中国人はチャンスを狙い続けるでしょう。与党の正義党は従来から、投資家の意向を大事するからだ。後はお金次第だ」とヴェガさんは指摘した。