四川省漢源県の僻地にある小学校(Guang Niu/Getty Images)
【大紀元日本11月20日】中国農村部の教育環境が悪化している。最新の調査では、2000年から2010年の間、中国の農村では1日平均63の小学校、30の教学点(臨時教育施設)、3つの中学校が消えており、1時間ごとに4校なくなっていることが明らかになった。
17日、北京で開かれた21世紀農村教育フォーラムでは、21世紀教育研究院が『農村教育布局調整十年評価報告』を発表した。それによると過去10年間で、農村部の小学校は52.1%に相当する22万9400校が閉鎖し、教学点は60%となる11万1000校、中学校は25%の1万600校が減少している。
また、10年間で3153万人の小学生と1644万人の中学生が減った。多くは所属の県や鎮の小学校や中学校に入っていたが、長距離通学や高額な学費を払えないことにより通えなくなっていったという。10省の農村の小中学校を対象にした調査によると、小学生の通学距離は平均5.4キロ、中学生では約18キロということが明らかになり、それにより退学率が増加しているという。
また出稼ぎ労働者の子供は、両親に連れられて都市に引っ越しても、戸籍がないため入学できないという問題も起きている。北京や広州などの大都市では、こうした子供たちのために学校が開設されているが、教育の質は他校に及ばず、運営が成り立たず閉鎖されることも多い。
昨年、北京市海淀区東昇郷の小学校が賃貸借期間の期限終了を理由に取り壊され、児童800人以上の勉学の場が奪われた。同市大興、朝陽、海淀などの区でも30近くの学校が相次いで閉鎖通知を受け取り、3万人近い児童の教育に影響を及ぼした。
これについて当局は、児童は政府が委託する6つの学校に自費で編入できると釈明しているが、僻地で学費も高い。政府は出稼ぎ労働者の子供を故郷へ追い返し、流動人口のコントロールをしたいのではないかと疑問視する声も高い。この取り締りにより、子供たちは帰郷し留守児童になるか、都市で街頭を放浪し乞食になるか、あるいは児童労働者になってしまうのではないか、と有識者らは憂慮している。