尖閣諸島空域に進入した中国当局のプロペラ機(スクリーンショット)
【大紀元日本12月14日】中国当局の航空機が13日、尖閣諸島魚釣島(中国名・釣魚島)の上空に進入したことを受け、藤村修官房長官が「極めて遺憾だ」と抗議したことに対し、中国外務省の洪磊副報道局長は「中国固有の領土で、中国の海洋監視機がその空域を飛ぶことは極めて正常なことだ」と反論し、中国の強硬姿勢を示した。
一方、進入と同時刻の午前11時ごろ、中国南京では警報が鳴り響いた。13日は、旧日本軍による南京占領から75年にあたる日であるからだ。尖閣周辺での動きもこれに合わせたものとみられる。
北京在住の時事評論家・黄忠清氏は英BBC放送の取材に、今回の中国側の行動から、習近平体制が領土問題において戦略的な転換をはかっていることがうかがえるとの見方を示した。
習氏が党・軍の最高指導者に就任後、「民族復興」や「中国ドリーム」を盛んに提起している。今月8日と10日に、広東省湛江市に司令部を置く中国海軍の南海艦隊などを視察した際にも、「中華民族の偉大な復興を実現するためには『富国強軍』が必要だ」と強調し、さらに、「軍事闘争準備」を整えるよう軍に呼びかけた(14日付環球網)。南海艦隊は中国がフィリピンなどと領有権を争う南シナ海などを管轄する。
習氏の一連の発言は、中国は今後、係争地域に関して、これまでの「争いを棚上げし、共同開発する」といった基本的立場を、強い姿勢で臨む構図に切り替えることを裏付けている。
一方、日中間の緊張がすぐに戦争につながる可能性は低いと黄氏はみている。今回中国が派遣した航空機の所属は中国国家海洋局で、民用機にあたる。付近海域に頻繁に進入する中国の海洋監視船も同じ所属。「今にでも戦争を起こしたいわけではなく、中国の決心を示すためのものだ」。こういった揺さぶりをかけながら、日本の対応を見極めていると黄氏は分析した。