北京を流れる川(Mark Ralston/AFP)
【大紀元日本1月11日】北京に住む趙飛虹夫妻はすでに20年間、湧かしたものを含め、水道水を口にしたことがない。「水質が悪くなる一方だ」と趙さんはその理由を話す。広東省の週刊紙・南方週末が昨年末、夫妻を取材した。
北京保護健康協会の健康飲用水委員会の責任者である趙さんと、国家発改委の飲用水産業委員会に勤める夫は、「北京一、水に詳しい夫婦」と自負する。北京の水を長年観測しつづけた夫妻は、急速に悪化していく数値に憂慮している。
昨年末に、水道水の硝酸性窒素含有量という指標がついに国家基準の10mg/Lに接近した。「5、6年前には、この数値はまだ1~2ぐらいで、2011年でもまだ4を少し上回る程度だった」と趙さんは嘆いた。
水中の硝酸性窒素や亜硝酸性窒素の含有量は、生活排水やし尿による汚染に影響されていると趙さんは説明する。これらの物質を大量に摂取すると、体内で発がん性物質を生成する恐れがあると言われている。
硝酸性窒素の含有量の上昇は「多くの悪化する指標の中の一つに過ぎない」と趙さんは言う。「みだりな排水が当然のようにあちこちで行われている」。北京市を流れる大小の川が徐々に灰色がかった黄色に染まっていく過程に、夫妻は立ち会ってきたという。
さらに、趙さんを心配させているのは、地下水位の低下だ。1999年から2009年、北京の地下水の平均水位がマイナス12メートルからマイナス24メートルに低下し、市中心部では現在、マイナス30メートルまでに下がっているという。地下水の貯水量が年平均5億立方メートルのペースで減少していると当局は発表している。
2011年では、北京市の1人当たりの水資源量は100立方メートルを下回った。これは国際基準となる1000立方メートルの1割にも満たさない数字だ。一方、この水資源量は2008年では、まだ3倍となる300立方メートルをキープしていた。
水不足の北京は今、河北省や山西省、さらに、遠く離れた湖北省からも水を引き入れている。再生水、岩石内水、海水処理後の水、黄河の水など、ありとあらゆる水がその対象になっている。飢えたる者は食を択ばず。「水源の複雑化は北京の水質を悪化させる一因でもある」と趙さんは指摘する。