【大紀元日本2月20日】パキスタン首都イスラマバードで18日、同国南西部の要衝グワダル港の運営管理権を中国国有企業に移行する調印式が行われた。同港はインド洋アラビア海の交通・貿易・軍事の重要拠点とされ、インドなど周辺国は警戒を高めている。
式典に出席したザルダリ大統領は、すでに貿易・通商の拠点となっている同港を「中央アジア諸国をまとめる鍵であり、パキスタン中国の関係に『新たな機会』をもたらすもの」と表現する。
大統領は、同港から陸路で運搬できる道路などのインフラ整備を進める方針を示した。また、将来的には同港から中国へ繋ぐ石油パイプライン建造の可能性もあると国内外メディアが指摘している。現在、中国は石油の大半を中東から輸入している。
これまでシンガポールの港湾会社が運営権を握っていたが、資金難や治安不安などを理由に手放した。中国への運営権譲渡は1月下旬にパキスタン政府が閣議決定。インドのアントニー国防相は「我が国にとって懸念事項」と述べていた。これを受けて、パキスタン外務省報道官は「どこかの国が心配するべき事柄ではない」などと回答していた。
グワダル港は2007年に完成。総建設費2億5千万ドル(約230億円)の8割を投資するほど、中国は当初から全面的な資金協力を行っていた。
中国はインド洋での覇権力を高めている。これまでにミャンマーやバングラデシュ、スリランカで中国資本の港湾が建築されており、インドを囲うこの戦略は「真珠の首飾り」と呼ばれる。
(翻訳編集・ 佐渡 道世)