ワシントンで対面した欧州議会のスコット副議長(後列中央)と張連英さん一家 (写真:本人提供)
【大紀元日本3月11日】欧州議会のマクミラン・スコット副議長は3月初め、ワシントンで数年前に救援を呼びかけた法輪功学習者と念願の対面を果たした。「本当に現実だと思えない」と双方とも感極まりない様子だった。
副議長と会ったのは張連英さん(47歳)一家。北京の大手国営企業の元幹部だった彼女は、1999年、当時の江沢民総書記が法輪功弾圧を発動してから、法輪功の無実を周囲に訴え続けた。それにより、2005年6月、彼女は強制労働収容所に投じられた。
2006年5月、人権状況を調査するため訪中したスコット副議長は張さんの夫の牛さんと極秘に面会し、当時監禁中の張さんのことについて説明を受けた。
のちに副議長は彼女の事案を議会の公式サイトに掲載し、中国当局に対して、釈放を求めた。そして、訪問する国々に対して、張さん一家のことを取り上げていたという。
副議長の努力が功を奏したのか、翌年12月、張さんは出獄した。彼女はすぐに副議長宛に手紙を送り、獄中での生活を詳しく報告した。
それによると、投獄されたとき,張さんの娘はまだ1歳半だった。3平米の小屋に入れられ、昼夜問わず大音量のスピーカーで幼い子がママをねだる泣き声を聞かされたという彼女。「気が狂いそうになった」と当時の辛い状況を綴った。
しかしそれは始まりに過ぎず、さらなる苦痛が彼女を待ち構えていた。
看守の命令により、囚人たちは彼女に凄まじい暴力を繰り返した。
「殴る蹴るの激しい集団暴行は日課。気絶そうになっても止めてくれない」
「法輪功は無実だ」と訴えると、尿をつけたタオルや、便器掃除用の雑巾を口に押し込まれた。
また、ぬれたタオルで口と鼻を塞ぎ、窒息寸前までにタオルを離さない。「失禁するまで繰り返された」という。
そして、毎日2~3時間の睡眠しか許されない。8人の囚人が交代で見張り、寝かけた彼女を叩き起こすのが任務だ。
「犯罪者○○はトイレに行きたい」と大声で申告しないとトイレも許されない。自分は「犯罪者ではない」と従わなかった彼女は失禁した着替えも禁止。「生理のときも例外ではない。汚れた地面を囚人たちは私の衣服で拭く。一時、尻の肉がただれていた」
あるとき、看守は彼女の頭部に分厚いカバーを被せ、手足を縛り、50日間もそのまま放置したという。
ハンガー・ストライキをする彼女に対し、看守らが鼻から食道にチューブを差し込み、食物を無理やりに流し込んだ。「あまりの乱暴さに、時々大量に出血する」
そのような状況下で、彼女は5回ほど重体に陥り病院に搬送されたという。
2011年、様々な困難を乗り越えて張さん一家は米国に出国した。
「強制労働収容所では、死は怖いことではない。一番苦しいのは長時間の拷問に耐え、瀕死の状態でさまよう時だ。あの苦痛は言葉では表現できない。獄中にいる学習者の多くはいまだにこの地獄の苦しみに浸っている」と今も監禁されている学習者の身を案じている。知り合いの中で、分かっているだけでも20数人が獄中で亡くなったと話す。
「スコット副議長が助けてくださらなかったら、私は生きていなかったかもしれない」とやっと会えた副議長に彼女は感謝の言葉を重ねた。
法輪功(ファルンゴン)とは、中国伝統文化の一つである気功による心身健康法。約20年前から無料で一般に公開普及されてきた。心身の健康向上に効果が高いことから、一般庶民から政府高官や軍の関係者まで、中国社会の各層で学習する人が爆発的に増え、弾圧直前には、愛好者の数は約1億人と推定されていた。当時の江沢民総書記は政権への脅威と受け止め、他の最高指導部のメンバーの反対を押し切り、1999年7月、弾圧を命じた。法輪功の公式サイトは、14年間に及ぶ弾圧により3650人以上が拷問などで死亡、数十万人が投獄されていると発表している。