【大紀元日本4月8日】中国の現代史を2分すれば、政経両分というユニークな現象が見られる。前の30年間は、革命運動ばかり行われ、伝統文化や伝統的価値観が度重なる政治運動により次第に滅ぼされ、かわりにマルクス主義や毛沢東思想といった邪説が中国人の思想から行動まで次第に支配するようになっていった。
前の30年間で、共産党は国民の共産主義に対する幼稚な夢想を利用して革命運動を展開していたが、後を絶たない革命運動とりわけ文化大革命という十年間の災難を経て、国民は共産党政治ないし共産主義に対する盲信を失い、代わりに反共産主義の思潮が暗に広がっていった。政治カードの失効を見て、共産党は「改革開放」を吹聴し経済のカードを切り出した。これより、中国現代史の後半が始まった。
「改革開放」政策を実施した30年間において、中国はほぼ2桁の経済成長率を保った。一昨年には日本を追い抜いて世界第2の経済大国に躍り出た。政治運動ばかりやっていた国の変身ぶり、特にその奇跡的な経済高成長に世界の人々は一時、感心してやまなかった。「中国モデル」との呼び名が定着し、国際社会でも中国式社会主義の成功を賛美する声が聞えた。
しかし、この30何年間、何をもって経済の高成長を維持できたのか。一言で言えば、破壊的な成長パターンであろう。中国がとってきた成長戦略と措置はいずれも経済の規則に違反し、地球環境や人類の未来を犠牲にした。「金さえ儲ければいかなる手段も辞さない」という理念が経済高成長を維持してきたポイントだった。
それの代償として、30年後の今になって多大な問題が次第に浮かび上がってきた。自然環境の破壊、地下水の減少と汚染、黄砂、空気汚染、資源不足、有害食品の氾濫など、その問題は枚挙にいとまがない。大気汚染騒ぎが一段落した矢先に、ブタやアヒルの死骸があちらこちらで見つかり、そしてH7N9型鳥インフルエンザも猛威をふるいだした。
中国の友人はこう文句を言った。「中国で生きているなら、日々有害物に囲まれ、いくら注意しても防げないのだ。だから、この命は天に任せるしかない」
「改革開放」という名の下で、破壊されたのは自然環境だけでなく、人々の思想や行為、社会全般も甚大な被害を蒙った。そして、金儲けを絶対視する中で、伝統文化や伝統的価値観がよりいっそう否定され、世界の普遍的価値観や国際ルールなども無視されるようになった。
道徳の堕落により、中国の社会秩序や風紀が乱れ、強盗、殺人、色情、暴力などが社会にはびこる。共産党はまた、こういった国民の金銭欲と道義不在を巧みに利用し、よりいっそう独裁を強化し民主自由思想や信仰を抑圧した。法輪功学習者への凄惨な迫害もその中で起きている。
だが、60年以上にわたり翻弄されてきた中国人に近年、共産党の圧政に抵抗する姿勢がみられた。組織的、集団的抗議活動は年間20万件以上に達し、1億人以上の国民が『九評共産党』という書物をひもとき、共産党の関連組織から脱退した。官僚腐敗や権力闘争による共産党政権の内部からの瓦解に加え、国民は外部からその解体を加速させているのだ。
中国共産党の解体は、もはや理論上における推論ではなくなり、現実化してきた。習近平総書記は、3月12日に行われた政治局拡大会議で談話し、共産党の直面している諸危機を挙げたうえ、「共産党にとって今年と来年は生死存亡に臨む山場だ」と指摘した。最近、中央の指導部でさらに「緊急応変チーム」という新たな組織を立ち上げ、共産党解体などの非常事態に備えるという。習氏の談話や「緊急応変チーム」の立ち上げから、中国の近未来を垣間見ることができるだろう。